昔、某大手旅行エージェントが、「子供にやさしい宿」という宿泊プランを売り出したことがありました。どんな宿がリストアップされているんだろうとカタログの中身を眺めてみると、ほとんどが広いゲームセンターやプールを完備している大型施設のオンパレード。「あ~あ」と思いました。
案の定、数年で内容を改定されたと記憶しています。
児童・幼児・乳児は、それぞれ違う!
一口に子供と言っても、児童・幼児・乳児という集団がおり、それぞれ求められるものが違います。例えば、小学生はアクティブなゲーセンやプールでも良いでしょう。しかし、幼児はむしろキャラクターアイテム、ピカチューやら機関車トーマスやらの方が喜ぶのではないでしょうか?そして、乳児に至ってはゲーセンやプールはもちろん、キャラクターグッズすら関心ないかもしれません。
要は、それぞれの集団の“子供”に対して的確な対応ができて、初めて子供すべてにやさしいと言えるのでしょう。
紋屋にあるベビープレイルーム「よちよち」には、よくある室内用ジャングルジムやすべり台、ボールプールなど、幼児向きの器具は設置していません。ベビープレイルームを構想していた時、あるお母様から「赤ちゃんのプレイ空間に走り回るような幼児がいると危なくて目が離せない」と伺いました。
確かによちよち歩きの赤ちゃんに駆け回る幼児がぶつかったりしたら危険です。
「よちよち」と「ハイハイ」
そこで紋屋では、あえて幼児向けの空間にはしないようにしました。実はそれ以上に、同じ赤ちゃんでも「よちよち」と「ハイハイ」レベルは違うので、部屋の真ん中で区切るようにしてあります。
よちよちとハイハイのお子様が、空間的に分かれて利用していただければという思いで設けました。
実はこの空間、むかしは2次会用の会場でカラオケのあるクラブでした。それを廃止してベビープレイルームに改修したのでかなりの広さなのですが、ちょっとした工夫があります。
大切なのは、「心づかい」
床にはよくあるブロッククッションマットを敷き詰めてあるのですが、さらにその上にリノリウムのジュータンを敷いています。ブロックマットだけだと目地にゴミが溜まることもあるでしょうし、液体をこぼすと後処理が面倒です。そのため、マットの上にさらにビニール系のジュータンを敷くことによって、そういった心配がなくなるうえ、踏み心地がふわふわしてお子様が万が一転ばれても安心です。
床材の仕様にしてもプレイルームのコンセプトにしても、ぱっと見は気が付かない事と思いますが、「赤ちゃんにやさしい宿」であるためには、そういった「心づかい」は重要であると思っています。
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=171
(紋屋の赤ちゃんプランは、こちらです) https://www.monya.co.jp/baby/
寄稿者 高尾憲資(たかお・けんすけ) 季粋の宿 紋屋 代表取締役社長