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モノレールの乗降者数から見る天王洲(東京・品川)の都市型観光地への可能性

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 東京モノレールとりんかい線の駅が交差し、運河で囲まれた天王洲アイル(品川区)は、最近、アートの街として注目されています。東京モノレール天王洲アイル駅は、羽田空港と浜松町を結ぶ東京モノレールにおいて、羽田空港へ向かう一つ目の駅として1992年に開業しました。さらに、2001年にりんかい線の東京テレポートと天王洲アイル間が開業、2002年には、りんかい線天王洲アイルと大崎間が開業しました。これにより渋谷新宿方面、お台場方面から羽田空港への乗り換え駅となりました。

1年に365万人が天王洲に来街

 東京モノレールの1日当たりの乗降人員数(2022年度実績)を見ると、第1位は浜松町駅(75,646人)で、天王洲アイル駅は第2位(20,339人)となっています。ちなみに羽田空港各駅は次の通りです。羽田空港第1ターミナル駅(第4位 18,033人)、羽田空港第2ターミナル駅(第3位 18,834人)、羽田空港第3ターミナル駅(第9位 4,613人)、羽田空港ターミナル3駅合計で41,480人となっています。

 天王洲アイル駅に問い合わせたところ、約半数が一般乗降人員であるとのことでした。つまり、1日当り約1万人が一般乗降人員として考えると、1年間に365万人がこの街を訪れていると推測されます。

 その目的は、各オフィスビルへ向かうビジネス用途、食事、宿泊に加えて、天王洲銀河劇場をはじめとした天王洲に点在するエンタメ施設やアート関連施設への来訪のほか、前述のりんかい線経由での羽田空港利用者の乗り換えなども含まれています。

 天王洲アイル駅は、渋谷や新宿といったターミナル駅と違い、ふらっと訪れたり、何かのついでに立ち寄るという場所ではなく、しっかりとした目的意識を持って来街する場所となっています。従って、まず初めに来街者に天王洲アイルを十分に堪能していただくことが大事だと思っています。

天王洲アイルでショートトリップ

 天王洲・キャナルサイド活性化協会(まちづくり協議会)では、天王洲エリア屋外にあるアート作品やアート関連施設を対象に天王洲アートマップやアプリによる作品ガイドなどの整備を行い、街をアート巡りで周遊できる仕組みを整えています。さらに、アバターによる非接触・非対面接客システムの導入などで、地域の案内対応や見どころの紹介などが出来る端末をエリアに整備する計画も進めています。また周遊する手段としてのモビリティの導入など、天王洲アイルを楽しむことができるような仕組みや環境づくりを進めているところです。

 まずは半日、天王洲アイルで楽しめるショートトリップを確立し、天王洲アイルを来街者が周遊することで、主にオフィスワーカーや近隣住民をターゲットとしていたエリア内の店舗に新たな客層を呼び込み、観光消費の拡大、新たな店舗出店意欲の喚起につなげていければと考えています。

旅の最初の(最後の)立ち寄り地に

 今後、東京モノレールの乗降人員数は、国内外観光客の増加に比例して大きく増加することが見込まれます。りんかい線天王洲アイル駅の乗降人員数も、羽田空港へのターミナル駅としての利用者が増加することが予想されます。

 東京モノレールに乗って天王洲アイル駅を通過する観光客、乗り換え目的で天王洲アイル駅にて乗降する観光客にエリアの魅力を発信し、旅の最初の(最後の)立ち寄り地になることを目指し、地域関係者と協力しながら観光地域づくり法人(DMO)を設立します。今後も、より魅力にあふれる天王洲アイルになれるよう取り組みを継続していきます。

寄稿者 田嶋拓也(たじま・たくや)寺田倉庫㈱不動産事業グループ執行役員/(一社)天王洲・キャナルサイド活性化協会 理事・事務局長

「水辺とアートの街」天王洲運河
「水辺とアートの街」天王洲運河
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