第5回目となる今回は、奈良観光に関連した雑学ランキングのお話しをしてみたいと思います。
前回は、世界遺産についてお話しをしましたが、日本の歴史を語るとき、欠かせないのが、社寺仏閣を含む歴史的建造物やその装飾、仏像等の国宝、あるいは重要文化財の話ではないでしょうか?
長い歴史が物語る畿内の保有数
そこで雑学の➀として、都道府県別の国宝と重要文化財の保有数ランキングの上位を調べてみました。
個人的には、東京が1位というのは意外でした。国立博物館をはじめとした博物館や美術館等が多くあるために集められた物が多いという流れなのかも知れません。ただ、東京、京都、奈良、福岡(大宰府)の4か所にある国立博物館のうち、福岡には国宝が12、重要文化財が210しかないということですから、施設絡みとも言い切れない部分もあるようです。
また、2位から7位がすべて近畿地方の府県となっているのは、長らく都が置かれていたことが影響しているのだと思われます。(ちなみに国宝6位は和歌山、7位は兵庫、重要文化財6位は兵庫、7位は和歌山となっています。)奈良・京都に国宝や重要文化財に指定された建造物が多いのも同じ理由だと思います。ちなみに、日本国内の国宝の仏像の15%が、「阿修羅像」で有名な興福寺の所蔵ということにも驚きです。
有名観光地と社寺仏閣の数は一致しない
次に国宝や重要文化財とくれば、お寺や神社の数を外すことはできないということで、雑学の②として、お寺と神社の数のランキングを調べてみました。
こちらも、それぞれのベスト3は意外な結果でした。京都は寺院数で5位に入っていますが、神社数では20位、奈良は寺院数で16位、神社数では24位という結果で、「有名な社寺仏閣が多い歴史ある地域に、お寺や神社も多く存在する」とは言い切れないようです。
見せる・魅せる工夫によって、まだまだ伸びる
普段なにげなく目にしている歴史的遺産ですが、令和の現代に至っても、富雄丸山古墳のように調査が進むにつれて新しい発見があるということに、正直驚きを隠せません。そう思うと、奈良県全体が「まだまだ魅力を発揮しきれていない」、言い換えれば、「昔の人が残してくれた物を現代人が使いこなせていない」ということなのかもしれません。観光都市として発展していくために、「見せる工夫」と「魅せる工夫」がまだまだ不足しているのだと思います。
次回からは、「大阪・関西万博」等の関西への誘客が見込めるイベントが控えている今、真の観光地になるためには?を私なりに考えていきたいと思います。
(つづく)
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=27
寄稿者 志茂敦史(しも・あつし) 奈良交通㈱ 東京支社長