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観光政策の方向性について

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 わが国にとって、観光は、成長戦略の柱、地方創生の切り札であり、国内外との交流人口の拡大を通じて地域活性化を実現することが可能です。令和5年度においては、これまでの観光の課題やコロナによる旅行者の意識変化も踏まえ、「消費額拡大」「地方誘客促進」「持続可能な観光」の3つのキーワードに特に留意し、以下の3つの戦略を総合的かつ強力に推進しています。

①国内交流拡大戦略

 第1に「国内交流拡大戦略」です。

 近年の働き方や住まいのニーズの多様化等を踏まえ、「第2のふるさとづくり」(何度も地域に通う旅、帰る旅)やテレワークを活用したワーケーション、ユニバーサルツーリズムの推進による国内における新たな交流市場の開拓に取り組んでいます。ユニバーサルツーリズムは、旅のバリアを取り払い、人々の生きがいにもつながる大切な分野です。また、介助者の方と一緒にグループで旅行するケースも多く、単価も高い傾向もあり、ポテンシャルが高い分野だと考えています。

②インバウンド回復戦略

 第2に「インバウンド回復戦略」です。

 全国各地で特別な体験の提供や期間限定のイベント等を実施するとともに、日本各地の魅力を全世界に発信する「観光再始動事業」をはじめ、関係省庁の施策も総動員して集中的に取り組んでいます。さらに、コロナ前の2019年におけるインバウンドに関する目標の達成状況では、旅行者数は約8割の達成率であった一方、消費額と地方誘客は約6割の達成率にとどまっていたことから、今後は特にインバウンドの消費額拡大と地方誘客に取り組んでいきます。

また、観光消費の旺盛な高付加価値旅行者の誘客拡大を図ることも重要であり、地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりを推進しています。

③持続可能な観光地域づくり戦略                                                                             

 第3に「持続可能な観光地域づくり戦略」です。

 観光地・観光産業の再生・高付加価値化に向けて、宿泊施設や観光施設のリノベーションなどの取り組みを支援しているところですが、今回から、単年度ではなく複数年度にわたる事業実施を可能とすること、新たに面的DX化の取り組みを支援対象に追加すること等の制度拡充を図りました。これらを通じて観光産業の収益力の向上や経営の効率化を支援するとともに、従業員の待遇改善が図られるよう取り組んでいます。

 また、地球環境に配慮した旅行を推進するとともに、自然や文化等の地域の観光資源を保全・活用したコンテンツの造成・工夫、受け入れ環境等を通じて、持続可能な観光地域づくりを進めています。さらに、地域資源のさらなる磨き上げや、旅行者の利便性向上、観光地経営の高度化、観光産業の生産性向上、観光デジタル人材の育成・活用といった視点から、観光DXに関する取り組みを進めています。

観光庁では、令和4年度補正予算(1500億円)と令和5年度当初予算(315億円)を活用して、観光立国の復活に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

寄稿者 淺野北斗(あさの・ほくと)観光庁総務課課長補佐(総括)

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