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東京再発見 第3章 お屋敷町にひっそりと~文京区千駄木・旧安田楠雄邸庭園~

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 東京の地形は「谷」と「丘」の連続だ。千駄木の谷底に通る不忍通りは、本郷台地と上野公園との間を貫いている。「谷根千」と言うように谷中と根津、千駄木が重なる谷中銀座から根津あたりは、観光客が毎日のようにやって来る。そして、裏路地が楽しい場所でもある。

入り口のお庭、彩りが素晴らしい
入り口のお庭、彩りが素晴らしい

 一方、千駄木の坂の上は、閑静な住宅地である。それ故、観光客も少ない。不忍通りから一歩入ると斜形地に須藤公園という公園がある。ここから先は、下町の雰囲気は一気に消え、千駄木のお屋敷町となる。この辺りには、高村光太郎旧宅(跡地)や森鴎外記念館(観潮楼跡)もあった場所でもある。

創建当初の姿が残せたのは・・・

 その町中に旧安田楠雄邸は建っている。この館は、豊島園を開園した藤田好三郎が1919年に建てたもの。その後、安田財閥が取得した。そして、関東大震災や第二次世界大戦の際も被災せず、創建当初のままの姿を伝えている。和風建築の粋を集めたお屋敷ながら、洋風の応接間を持つ和洋折衷の建物だ。

床紅葉、ここは東京!?
床紅葉、ここは東京!?

 1937年に安田財閥の三代目に当たる楠雄が相続した。1995年に楠雄が他界した後、遺族から日本ナショナルトラストに寄贈された。耐震補強を進め、2007年から再公開が始まった。(水曜日と土曜日のみ)

 この大正・昭和の建物の趣きは、奥行きがあり雁行型に配されている。そのため、どの部屋からも庭を愛でることができる。しかし、部屋ごとにその印象が違うので飽きることはない。

 庭には、春の枝垂桜、秋の朱や黄色の木々と四季それぞれの景色があちこちに配置されている。また、邸宅から見る大正ガラスにゆらゆらと映し出される木々の彩りは、時間を超越したものである。

モノクロ写真に彩りを添えた隠れ家

 年に二回公開される邸宅内の防空壕や普段踏み入れることができない庭園の散策も一興である。また、ただ単に邸宅内のみ見学するのではなく、ボランティアガイドの方々の説明を聞くこともできる。

どこで仕入れてくるのか!?
どこで仕入れてくるのか!?

 「どうぞ、お好きなだけ写真もお撮りいただいて結構です」と自由に撮影できることも素晴らしい。

 大切に手を入れ、しっかりと蘇らせた邸宅。まるで、モノクロ写真に彩りを添えた大正・昭和の隠れ家ようである。それ故、新たになったこの空間を後世に伝えていくことが、私たちの使命であると感じる。

それでも訪日外国人はやって来る

 そのような隠れ家にも、数多くの訪日外国人は足を運んでいる。

 どこで情報を仕入れてくるのか、彼ら彼女らの情報への貪欲さを日本人も見習わねばならない。

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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