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「休日の分散化もいいが、まずは有給休暇の取得を業界一体となって取り組むほうがよいのでは?」

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 日本名物の大型連休・年末年始の大渋滞、どこにいってもヒト・ヒト・ヒトの混雑。

 その混雑を避けて、自宅でのんびり過ごしながら渋滞のニュースを見るわけにいかない、その時にしか行くことができないご事情のある方もきっと多いことでしょう(例えば、学校がお休み中のお子さま連れのご家族)。

「休日の分散化」がもたらすもの

 そのような中、「休日の分散化(住むエリアによって大型連休の時期が異なる)」が提案され、例によって「海外では~」と主張する海外出羽守と、「ニッポンはニッポン、ヨソはヨソ」という議論になっているニュースも見かけるようになりました。

 驚くのは、海外出羽守による「需要の平準化によって、品質が劣後する業者は去ることになるので、休日の分散化は消費者にとっても利点がある」という展開。

 現状は、「需要の偏りによって競争力のない業者(劣後業者)であっても単価が引き上げられ、劣後業者が救済されている」とのこと。それに対し、休日を分散化すると需要の偏りが平準化され単価を引き上げる機会が失われ、劣後業者は淘汰されることになるだろう、そのような競争劣後な者が観光業界に多いからこそ、観光協会からの休日の分散化に反論する声が強いのだ、という意見を見たように記憶しています。

 つまり、休日の分散化は本来、「業界の正常化・自浄作用が働き、消費者にとってメリットが大きい」のに、現実は、「劣後する商品と既得権を持った業界の関係者が休日分散化に反対し抵抗勢力になっている」との主張なのだろうか、と感じてしまいました。

 いずれにしても、海外出羽守の主張に対して世の中は単に無理解・無関心のままとなるのか、注目に値する提案として国民の支持を受けて議論が発展するのかは分かりませんが、休日の分散化について、こういう誰かを見下す主張でしか突破できそうにないからこそ実現もしないのだろうと思う人もいるだろうな、と想像もします。

業界協力による有給休暇取得環境の改善を

 そんな議論よりも、有給休暇の取得環境については、まだまだ改善の余地があり、ぜひ業界が協力し合って、もっと推進してほしいと考えます。

 有給休暇の年間付与日数は、11日~20日です。一方で、祝祭日は年間16日程度。他に慣習として、夏休みや年末年始のお休みを地域別に分散取得しなければ休日の分散化としては意味がないということかもしれませんが、もし休日の分散化に少しでも数パーセントでも寄与すればよいのだということであれば、個人が個々に分散していく有給休暇の取得強化を進めたほうが、「業界内の非難」を展開するよりも、よほど建設的でありがたいことだと思うのです。

 まさかと思うが・・・

 「ホテル利用者には有給休暇の積極的な取得による休日の分散化効果で需要の偏りが軽減され、ホテルを利用しやすくなりますよ」という一方で、「雇用する従業員が有給休暇をたくさん取得するとホテルが人員不足で困るから、自分のホテル従業者は有給休暇を取得されては困ります」というダブルスタンダードだと戸惑ってしまいます。休日の分散化は、当然にホテル従業員のプライベートにも影響するわけですから。

4年に1度「うるう日」

 休日の分散化の話ではないですが、今年2024年はうるう年、2月29日という4年に一度行われる、地球の公転に起因する「調整のための1日」は、原則「世界中が休日」でよいのではないだろうかと感じる日です。

 現状では、労働する日が単に1日増えてしまい、しかし、うるう日手当・日当というものを聞いたことがありません。日本は月給制が多いこともあって、支給額は28日でも29日でも変わらないとなると、この1日を人件費ゼロで丸儲けしている側がいるように思ってしまいます。

 本来、地球上すべての人類への贈り物ともいえる「うるう日」は、圧倒的多数の労働者に還元すべきだと考える次第でして、仮に366分1(0.2%)の収益が失われても、目くじらを立てて苦情を言う人は多くないように思います。

 もちろん、これも我田引水。宿泊業・旅館業に身を置く私の身勝手な意見であることは否定できません。

寄稿者 北﨑堂献(きたざき・たかのぶ)ワンファイブホテルズ㈱代表取締役社長/いちご㈱ホテル事業部長

寄稿者 北﨑堂献(きたざき・たかのぶ)ワンファイブホテルズ㈱代表取締役社長/いちご㈱ホテル事業部長
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