子どもの頃、日本地図を見ながら、「どうやって見たら、このように見えるのだろうか?」としばしば思ったものです。飛行機に初めて乗ったのがいつのことやら忘れてしまいましたが、車窓から見える風景は、一瞬で切り取られる刹那的な景観だと思います。
列車からの目線は平行的であり、航空機から見える景色は、俯瞰的。飛行機から見る景観は、ニッポンの荘厳さ、素晴らしさを見せてくれます。
「俯瞰するニッポン」、そのようなシリーズを始めてみました。
神々しいという言葉が、車窓から見えた気がする
晩秋、木々が赤から白に変わる頃。佐賀空港に向かう全日空981便は、ほどなく九州の上空と思われる時、雲海の中に日本神話の原点、神々しい山々が映し出されていました。
多分、宮崎と鹿児島あたりの景色だと思いつつ、しばらく車窓に目を奪われていました。
すると、雲が切れ、雄大な山々の姿が現れました。神々しい陸(おか)、阿蘇山です。手前の半島のような場所が大観峰、真ん中で噴煙を上げているのが中岳です。
九州の島は、阿蘇山を境にして北と南で、植生や食、その他さまざまなモノ・コトが異なると言われています。ここには、中央構造線が横たわっています。そして、阿蘇山が何度となく噴火するうちに地続きになったとも言われている場所です。阿蘇山から南では、日本酒を造ることができないらしいです。
要の観光地・・・阿蘇山
阿蘇山は、九州を代表する観光地です。
2016年4月の熊本地震で、そこを東西に抜ける豊肥本線は、路線が寸断されました。大地溝帯の橋梁復旧にはかなりの困難があり、2023年にやっと全線復活しました。
また、阿蘇山は活火山であるゆえに、何度となく山頂までの登山道が閉鎖されます。九州の要である阿蘇山観光、ここがダメージを食らうと旅行日程は大きく崩れます。
自然との闘いは、人間の力ではどうにもならないことです。しかし、平和産業である観光、平時が持続することを誰もが望んでいることです。
そう思っていると、束の間、眼下には有明海の海苔いかだが見え、ほどなく、佐賀空港に到着していました。
寄稿者 観光情報総合研究所 夢雨/代表
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=181