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観光目的の多様化による少人数でのワンマイル移動に対応するモビリティサービス

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 シンガポールの中心であるセントラルエリアでオンデマンド交通mobiを2021年10月からサービスを提供している。mobiアプリを開くと地図上にサービスが利用できる縦横約7キロのエリアがわかり、その中に乗降場所を示すWay Point(アプリ上の仮想バス停)がどこからでも約200m歩けば乗降できるように設定されている。乗車地と目的地のWay Pointを選択し検索すると、近くにいるmobi車両がヒットしてお迎えに行く時間を表示する仕組みになっている。車両は13人乗りのワンボックスタイプのロングボディを使っており、相乗りで移動し、皆さん簡単に挨拶をして乗車するフレンドリーなサービスになっている。車両が迎えにくるまでの待ち時間は、閑散時間が10分ぐらい、繁忙時間は20分ぐらい待たされることもあるが、利用者が慣れてくるとそれを見越して行動されるように変化してくる。

急増するインバウンドへの可能性

 サービス開始時がコロナ禍であったこともあり、シンガポール自体に旅行者が少なく、これまでは生活の足として利用されてきた。シンガポールのmobi会員(アプリに会員登録済で利用可能な状態の方)は約7,000名おり、エリアはシンガポールの中心となるビジネス街と富裕層が居住する住宅エリア、ショッピングモールを網羅している。

 ただし、今後は、圧倒的に増えるインバウンド向けのモビリティサービスとしての可能性があるのではと考えている。ポテンシャルとしては、オーチャード、マリーナベイ、中華街など、トラベラーがいく訪問先の8割ぐらいは当エリア内にある。SNS等でさまざまな情報が発信されることにより観光目的が多様化し、食・体験・フォトジェニックな場所…多方面に少人数で自由に移動したいというニーズに適したモビリティサービスになるのではと考えている。特にインバウンドは、言語の問題や時間、安心(日本が得意とする品質)が求められるため、それらに対応することができるサービスであることが必要になると考えている。

 最後に、これから日本もインバウンドが急激に増えていくことが予測される中、モビリティサービスの検討は、地域の魅力を遺憾なく発揮するためにも、さまざまなオーバーツーリズムの課題解決にも重要になると考えている。日本各地で早い段階から実証を行っていきたいので、興味がある公的機関の方々や一緒に取り組みたいと考えている方々は是非ご連絡をいただければと思います。

寄稿者 村瀨茂高(むらせ・しげたか)WILLER㈱代表取締役

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