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体験に係る作業負担を軽減 「QRコード機能」で解決する課題とは⁉~|リクルート 伊津野咲マネジャー

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 旅行情報サービス「じゃらんnet」を運営するリクルート。じゃらんnetは、レジャー体験を予約できる「じゃらんnet 遊び・体験」で入場チケットの仕様にQRコードを追加した。同社旅行プロダクトマネジメントユニットの伊津野咲マネジャーに、遊び・体験の市況のほか、新たなサービスとして導入したQRコード機能の狙い、事業展開などを尋ねた。

――じゃらんnet 遊び・体験予約とは。

 旅行情報サービス「じゃらんnet」の関連サービスであり、日本全国の遊びや体験のプログラムをパソコンやスマートフォンからオンラインで予約できるサービスだ。旅行先で何かを体験したい、アクティビティをしたい人向けに商品を案内するほか、週末に自宅近くで何か体験をしたい場合の検討にも使えるサービスとなっている。

――コロナ禍が収束して1年弱となるが、現在の市況について。

 コロナ禍の打撃は、宿・ホテル予約と比べてそこまで大きくなかった。落ち込んだ時期はあったが、2022年度ぐらいからは、通常モードに回復した。じゃらん遊び・体験のサービスで取りそろえている在庫には、イチゴ狩りなど果物、野菜の収穫体験といった人混みを避ける体験が多くあり、三密回避の観点からもユーザーからは早い段階から理解を得られた。現在は、インバウンドを含めて旅行需要がおう盛となっているが、体験の需要も比例して好調に推移している。

――動いている客層は。

 われわれのサービスは現時点では個人、国内、日本人のお客様を対象にしている。コロナ禍前とあまり変わらない状況に戻り、昨今では国内を団体で移動する人や、インバウンドのお客様もかなり増えている。体験を提供している施設は集客と比例して忙しくなっており、先ほどのイチゴ狩りの話で言えば、増加するお客様の数が、収穫できるイチゴの栽培量を上回ることも発生しており、予約の受付を一時的に停止するといった話も出ている。

――人気の体験は。

 体を動かすものだと夏でのマリンスポーツは相当戻っている。また、コロナ禍では入場者数の上限を決めていたチケットで入場するテーマパークや美術館といった施設もにぎわっている。

――2月1日には入場チケットの仕様にQRコードを追加したが、サービス導入の背景は。

 コロナ禍が明けてお客様の流れが戻ってきているとはいえ、日本は慢性的な人手不足に陥っていることもあり施設としては十分な人材確保が難しいのが実情。人流が増加、回復してきたところに対して、受け付け業務における負担が拡大することが大きな課題としてある。じゃらんnet遊び・体験予約としては、イチゴ狩りやマリンスポーツなどアクティビティの体験を主に掲載してきたが、直近はチケットを用いて入場する施設に関しても掲載し集客のご支援をさせていただくことが増えている。施設担当者からも、もう少し受け付けのオペレーションをスムーズにできないかと相談いただくことが増え、QRコードの導入がコロナ禍からの回復傾向で生まれた新たな課題を解決するものとして追加した。

施設側の入場チケット読み取り画面、読み取り結果画面
施設側の入場チケット読み取り画面、読み取り結果画面

――QRコード機能で実現できることは。

 施設に関しては、受け付けのオペレーションを簡単、スムーズにすることで対応への余力を作ること、ユーザーに対しては、入場で並ぶ時間を解消し、体験全体をスムーズに、楽にすることを実現する。

――他社でもQRコードを使ったサービスを提供しているが。

 遊び体験全体として、割引クーポンの付与やリクルートポイント、Pontaポイント、dポイントへのポイント還元がある。お得にアクティビティや体験をユーザーに届けられることが一番差別化できるポイントだ。QRコード自体は、かなり世の中のスタンダードになっている。じゃらんのQRコードのシステム自体が何か新しいものがあるというよりは、じゃらんのサービス全体として、お得な要素とスムーズな体験をセットで届けたい。また、事業者様にとっては業界最大級の旅行情報サービスである「じゃらんnet」が母体にあることによる集客力が強みだ。

――ユーザーからの要望も多いのか。

 受け付けの混雑解消が目的だが、ユーザーからも非接触で受け付けがしたいというニーズがかなり強くなっている。コロナ禍が明けても、感染対策の必要性に対する感覚は弱くなっていない。そのようなユーザーの感覚に施設側もアップデートして合わせるための一つの手段として使ってもらいたい。

――入場時での作業負担は、どれぐらい軽減されるのか。

 これまでは、紙のチケットや画面上でスワイプをしてチケットをもぎる仕組みが多かったが、あくまでお客様1人に対して1枚ずつもぎるなど、内容を確認する必要があった。今回のQRコードに関しては、1人ずつ入場したい人はもちろん対応できるが、例えば5人で来た家族が全員分の画面をそのまま1ページ見せ、1回のアクションで受け付けができる。グループのお客様が多い場所では、シンプルに5回行っていたことを1回で終えられる。QRコードでの受付対応を導入することで、クオリティを下げずに大きく時間を削減することが可能になる。

――QRコードの導入に当たってのコストは。

 スマートフォンがあれば対応できる。現地でQRコードを読み込める端末があれば対応は可能だ。実際の受け付け現場を拝見し担当者の方とお話しする限り、そもそもそのような端末を置いているところが多く、何かを完全新規で取り入れなければならないという高いハードルは少ない。費用は、通常の契約の中で全て込みで対応している。じゃらんnet 遊び・体験予約は掲載の費用がかからず、ご送客に対して金銭が発生する仕組みであり、QRコードの受付方法を導入しても追加料金が発生することはない。

――今後については。

 チケットの着券作業が簡単になるということはイメージいただけたと思う。ただ、QRコード化をしても人の介在がまだ必要だと思われるが、今後はさらに自動化や工数を少なくして受け付けの対応ができる方法を模索していく。ただ集客を支援するだけでなく、現地の業務オペレーションを改善していくという課題の解消を引き続き着手していく。

――じゃらんnet 遊び・体験予約全体での今後の展開は。

 「モノ」から「コト」へ消費スタイルが変化しており、旅行においてもその地域ならではの体験ニーズが高まってきている。われわれとしては、対応できる体験やアクティビティの幅を広げていきたい。また、週末に時間があるけれど何をしようか、旅先で時間が空いたといった何か具体的に行いたいことが決まっていない人たちにも、新しいアイデアや発見が生まれるようなサービスを提供していきたい。また、事業者の業務・経営課題やニーズに対してもソリューションを提供することによって観光業界の生産性向上を実現していきたいと考えている。

伊津野咲(いつの・さき)(株)リクルートプロダクト統括本部 プロダクトマネジメント統括室 旅行プロダクトマネジメントユニット 旅行プロダクトマネジメント2グループ マネジャー

取材 ツーリズムメディアサービス編集部 長木利通

リクルート 伊津野咲プロフィール写真
リクルート 伊津野マネジャー
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