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第1回JATA SDGsアワード、HIS「カンボジア学びの旅」が大賞

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会員26社から75件の応募

 日本旅行業協会は6月15日、第1回「JATA SDGsアワード」を発表した。大賞は、エイチ・アイ・エスの「旅を通じて、カンボジアの子どもたちに学びの機会と楽しさを届ける」だった。会員26社から75件の応募があり、JATA社会貢献委員会の坂元隆委員長(読売旅行会長)は、「第1歩として手応えがある。中規模、小規模の会社からも応募があった。今後はさらに業界内のSDGsについての認識を高め、より多くの企業が応募できるようにしたい」と話す。

SDGsをジャンピングボードとして積極的に推進

坂元隆社会貢献委員会委員長

 表彰は、会員各社が実施している持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた優れた取り組みを表彰することで、旅行業界における取り組みを推進することが目的。表彰を通じ、SDGsの概念を理解するも、「どのように取り組むべきか」、また「何から始めるべきか」といった声に対し、会員各社の事例を広く周知・共有することで、各会員各社における主体的な取り組みを後押しする。

 同アワードでは、4つの部門を旅行業の実情に合わせて部門ごとに取り組みを募った上で、表彰者が選定された。応募部門、件数は①社会・人権部門(20件)貧困、健康福祉、教育、ジェンダーおよび機会均等などに関する内容②経済・産業部門(23件)労働、産業、技術およびエネルギー問題などに関する内容③地球環境部門(10件)海洋資源、森林資源、生物多様性および気候問題などに関する内容④共創部門(4件)協働・連携を軸とした内容-の4つ。

 同日に開催された発表会では、大賞、優秀賞受賞者が発表。坂元委員長は創設の目的として「今回から始まったアワードだが、SDGSは日本内外、業界問わず世界の共通の目的となっている。ジャンピングボードとして積極的に推進していく」と述べた。今後の3つの推進事項として、①SDGsの取り組みを推進すること、②JATA会員の理解を深めること③実際の実施に結び付けること—を挙げた。

 大賞、優秀賞受賞者のコメントは次の通り。

大賞、社会・人権部門優秀賞 エイチ・アイ・エス「旅を通じて、カンボジアの子どもたちに学びの機会と楽しさを届ける」

エイチ・アイ・エス 個人旅行営業本部専門店エリアスタディツアーデスクの行廣彩夏所長代理(左)

 エイチ・アイ・エス 個人旅行営業本部専門店エリアスタディツアーデスクの行廣彩夏所長代理「私と社会がつながる旅を掲げ、SDGsの取り組みに賛同する中で、旅を通じての貢献活動を始めた。2017年からカンボジアに学校を建てたころがきっかけだが、HISならではの取り組みができた。学校を訪問するツアーや、学校内施設がまだまだ不足する中、建材を集める旅などを行っている。学校を建てて終わりということでは持続可能にならないので、旅行者が情操教育を行うなどカンボジアの人たちと交流するプログラムも行っている」

経済・産業部門優秀賞 JTBコミュニケーションデザイン「観光業界におけるCO₂排出量削減を目指す『CO₂ゼロMICE®』『CO₂ゼロSTAY』」

JTBコミュニケーションデザイン事業共創部ソーシャルビジネス局の井上裕生局長(左)

 JTBコミュニケーションデザイン事業共創部ソーシャルビジネス局の井上裕生局長は「国際会議などMICEでは多くの電気などエネルギーが使われている。会場で使われる電気をグリーン電力証書を使うことで再生可能エネルギーに置き換えることにつながり、展示会などではCO₂の削減につながった。宿泊施設やDMOなど地域との連携はアフターコロナの間で進んでおり、この2年間でも200件弱のMICE実績が出来ている。今後は、移動、食事などでカーボンニュートラルの取り組みを進め、日本の水準を上げることに貢献していきたい」

地球環境部門 クラブツーリズム「『YAMA LIFE CAMPUS』を通じた登山道整備プロジェクト」

クラブツーリズムテーマ旅行部スポーツ旅行センターの窪田一紀アシスタントマネージャー(右)

 クラブツーリズムテーマ旅行部スポーツ旅行センターの窪田一紀アシスタントマネージャーは「No.1登山アプリ『YAMAP』を運営するヤマップとの連携以降、山をテーマとした旅行を多く作ってきた。山では登山道の崩壊などが危惧される中、これまでは登山者の助けがあって維持されてきた。利用するわれわれも登山道を使うだけでなく、持続的なものにしたいことからプロジェクトを始めた。舞台は300km程度の登山道がある北海道・大雪山を選び、登山道を整備するツアーを展開してきた。参加者と共に山に恩返しする思いを持ち、3方良しだけでなく、売り手、買い手、世間だけでなく地球、環境、未来なども含めた6方良しの未来を作っていく」

共創部門 楽天グループ「宿泊施設の取り組みを旅行者にわかりやすく紹介し、サステナブルな旅行を推進」

楽天グループのトラベル&モビリティ事業ジャパンカントリーマネジメント部サステナビリティプロジェクトグループの沖芙如マネージャー

 楽天グループのトラベル&モビリティ事業ジャパンカントリーマネジメント部サステナビリティプロジェクトグループの沖芙如マネージャーは「楽天トラベル上で宿泊施設を選ぶ際に、サステナビリティアイコンを導入した。それぞれの旅行スタイルに応じてサステナブルな取り組みを行う宿泊施設を選べるもの。地球環境を守ることはエコで必要なことだが、旅行業で貢献できるの伝統文化の継承や、地域コミュニティーを大切にすることも進めていく。カテゴリーは、廃棄物、水資源、自然環境、食、伝統、歴史、多様性、地域貢献の8つのカテゴリーを設けている。アイコンは、リリースするだけでなく、一定の基準を設けたスク泊施設にサステナブルトラベルバッヂを与えるほか、ガイドブックを作成・配布をしながら意識、賛同を高めることもしており、一層賛同者をを増やしていきたい」

取材 TMS編集部 長木利通

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