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第5回「地域団体商標」活用事例(野菜編)

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 今回からは、数回にわたり、地域団体商標の活用事例を紹介させていただきます。初回は、北海道の「十勝川西長いも」の活用事例です。

地域団体商標「十勝川西長いも」について

 「十勝川西長いも」は、十勝支庁帯広市川西地域及びその近隣地域で生産された長いも、十勝支庁所在の帯広市川西農業協同組合において生産及び管理された種いもを用いて十勝支庁帯広市川西地域及びその近隣地域で生産された長いもです。

 昼夜の温度差が大きい十勝の気候と肥沃な土壌から、自然が育むコクのある旨味を生み出し、肌・肉質が白くきめ細かで粘りも強いのが特徴です。

 厳格な種いも管理の下、十勝管内の広域8農協が連携で生産し、一元集荷で全国に通年販売される国内最大規模の長いも生産量を誇る産地ブランドであり、2008年には、全国に先駆け長いも選果場でHACCP認証を取得し、さらなる安全・安心な農産物へと進化しています。

 まっすぐで大きい形や白い色、徹底した品質管理による安全性の高さから、国内はもとより、アジアや米国でも人気を得ています。

生産状況と海外への販路開拓について

 元々海外への輸出は、国内の流通量とのバランスを取ることが目的でした。これにより、豊作・凶作にかかわらず、国内の価格と生産者の収入を安定させることができています。

 国内最大規模の選果場の整備も相まって、一年中安定した生産が可能になっており、生産する農家が増え、後継者問題や地域の雇用改善にもつながりました。

 生産地が広域に渡っていても、こうした一体的な取り組みができるのは、地域団体商標という共通の名称を共有しているからだと権利者は考えています。

 東日本大震災以降、海外に輸出する際には産地証明が必要になり、その手続きに手間取ることがありましたが、台湾に輸出する際、地域団体商標の登録証が「日本国が認めた産地証明」として効果を発揮し、通関をスムーズに通過できているとのことです。

 また、海外への輸出が本格化するなか、海外での名称保護を目的として6カ国に商標出願し、うち5カ国で権利化しており、名称の模倣について抑制効果があると権利者は感じています。

 さらに、シンガポール、タイへの出願の際には、特許庁の外国出願補助金を活用しています。

GI(地理的表示保護制度)登録について

 海外の取引国が増えるにつれ、各国すべてで商標出願するにはコストがかかります。

 コスト削減と、将来的に海外における名称保護を期待して、地域団体商標の権利者が、2016年1月にGIを申請し、同年10月に登録となっています。

地域団体商標権利取得の効果

 北海道で第1号となる地域団体商標「十勝川西長いも」を2006年に権利取得したことで、「地域のブランド品」という共通意識を高め、生産者や選果場の職員のモチベーションを向上させることに成功しています。 また、国内では規格外の太物が、台湾では歓迎されたため、サイズで国内外の市場を分けて海外輸出を着実に広げた結果、長いも10a(アール)当たりの収入は、輸出開始前に比べて 3割以上アップし、農家の所得が拡大しています。

 上記の取り組みにより、帯広市川西農業協同組合は、令和2年度知財功労賞 特許庁長官表彰を受賞しています。

 さて、次回の第6回は、「地域団体商標」活用事例(食肉 or 水産物編)についてお話します。

★さらに詳しく知りたい方はこちら!

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12. 地域団体商標制度について

https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/chizai_setumeikai_jitsumu.html

寄稿者 特許庁 商標課地域ブランド推進室

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