皆様、はじめまして、奈良県に本社を構える「奈良交通」というバス会社の東京支社で勤務しております志茂と申します。主に関西での観光バス輸送に関わる事案の情報提供と旅行事業者様へのセールス活動を中心に業務を行っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
コロナ禍で見えたものは・・・
東京にはコロナ渦真っ只中の2020年12月に赴任し、はや2年半が過ぎました。東京着任当時は、コロナ前の朝の情報番組などで目にしていた、通勤時間帯の主要ターミナル駅や週末の銀座、浅草などの激しい混雑が当り前と思っていた街から、これほどまでに人がいなくなるのかと驚きましたが、ウィズコロナの時代となり、人流が回復してきた現在では、その頃の記憶が懐かしく思えます。
当然ながら、コロナ渦においては、奈良への観光目的の来県者も個人・団体を問わず激減しましたが、この春頃からようやく回復してきました。私自身、観光事業従事者として、苦しい3年間を過ごしたわけですが、一方で、「観光目的の来県者の滞在時間が短い」「宿泊施設が少ない」など、さまざまな否定的な意見が飛び交う「観光都市(?)奈良」(あえて?を付けています)に、どう関わっていけるのだろうか?ということを考える時間にもなりました。
大仏商法からの脱却に必要なことは・・・
観光という視点から奈良を考えたとき、まず最初に思い浮かんだのが「大仏商法」という言葉でした。
どこかで耳にされたフレーズだと思いますが、個人的には「大仏観光」に来る人が立寄るのを待つだけの、進んで客を集める努力をしない奈良商人の消極性をいう、どこか高飛車でネガティブなイメージを想起する言葉のように感じていますが、その一方で「大仏観光」に来る人を逃さない商売上手というポジティブなとらえ方もあるようです。
しかし、皆様はすでにお気づきだと思いますが、文章を数値化し、例えば大仏観光に来る人数を1,000人とすると、ネガティブに最大1,000人を待つととらえても、ポジティブに最大1,000人を囲い込むととらえても、つまり、顧客数の分母は変わらないのです。
では、「どうしたら人を集められるのか?」ということを考えたとき、やはり「大仏商法」から脱却しなければいけないと思います。そして、「大仏商法」から脱却するために必要なことは、理想の追求ではなく、現実の認識と改革に対する理解であると私は思います。この認識と理解の不足こそが、奈良観光が活発にならない要因の一つであるのでは?と疑ってみる価値はあるように思います。
観光目的の来県者数もコロナ渦前に戻りつつあり、インバウンド特需の恩恵もあって、「大仏商法」という言葉も忘れてしまうくらいに、平日、週末を問わず賑わっていることは喜ばしいことですが、それを手放しで喜んでいて良いのでしょうか。そうした視点も含めて、観光都市(?)奈良のこれからについて、私なりに考え、これからも綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(つづく)