富士山は、静岡県と山梨県に跨る活火山です。その標高は、3776.12 m、日本最高峰(剣ヶ峰)の独立峰です。そして、その優美な風貌は日本国外でも日本の象徴として広く知られています。また、懸垂曲線の山容を有した玄武岩質成層火山で構成され、その山体は駿河湾の海岸まで及んでいます。
神宿る神聖な山
古来より霊峰とされ、特に山頂部は浅間大神が鎮座し、神聖視されました。噴火を沈静化するため律令国家により浅間神社が祭祀され、浅間信仰が確立されます。また、富士山修験道の開祖とされる富士上人により修験道の霊場としても認識されるようになりました。そして、富士信仰は時代により多様化し、「村山修験」「富士講」といった一派を形成するに至ります。
2013年、関連する文化財群とともに「富士山、信仰の対象と芸術の源泉」の名で世界文化遺産に登録されました。
このように「神聖な場所」であるため明治時代まで女人禁制の伝統がありました。そのため、女性が登山することは長らく禁止されていました。特に富士山の神霊として考えられている浅間大神とコノハナノサクヤビメを主祭神とするのが浅間神社です。また、浅間神社の総本宮が麓の富士宮市にある富士山本宮浅間大社(浅間大社)であり、富士宮市街にある「本宮」と富士山頂にある「奥宮」にて富士山の神を祭っています。
こうした歴史から、富士山は、世界自然遺産ではなく世界文化遺産として登録されました。
どこまで見渡すことができるのか
富士山を見ることができる範囲は、山頂から322.9km離れた和歌山県那智勝浦町にある色川富士見峠(妙法山とは別)。また、眺望の北限は308km離れた福島県川俣町と飯舘村にまたがる花塚山(標高919m)と、日本地図センターにより認定されました。南東方向に約271 km離れた八丈島の三原山からも見ることができます。そして、理論上可能とされていた京都府からの撮影に成功したことにより、富士山の見える都道府県は、 20都府県とされています。
さて、羽田空港を基点とすると、西に向かう航空機は、ほぼ3通りの航路をたどります。富士山の北側と南側、そして、真上を抜けて行きます。また、北に向かう場合は、進行方向左側に関東平野を見ることができ、その向こう側に雄大な姿が出現します。
一方、羽田空港に向かう航空機は、富士山が円の中心のように見え続けます。しかし、太平洋上空を飛ぶために、少し遠いところに見えます。「かなた」という言葉が似合う景観です。
それでは、羽田空港を発着する航空機からの俯瞰する富士山を紹介していきましょう。
天晴な姿・・・沖縄便は進行方向右側の窓で!
山中湖と自衛隊演習場が・・・福岡便は相模湾まで
夏の姿は、黒々として・・・
真上を飛ぶと、火口までしっかりと・・・
ぐるっと旋回・・・札幌便は夢の国とゲートブリッジが
箱根の巨大カルデラ、芦ノ湖が優雅に・・・
関東平野は、とにかく広い・・・
浜名湖上空を通過・・・珍しい航路の向こう側に
東日本の巨大リゾートを一望・・・伊豆半島越しに見え隠れ!
左に旋回・・・伊豆大島が眼下に!
帰ってきた、と思う景色・・・房総半島越しに見え隠れ!
夕暮れは、シルエット富士山・・・沼津の夜景と一緒に!
チーバくんには描かれない富津岬越しのシルエット富士山!
寄稿者 観光情報総合研究所 夢雨/代表
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=181