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「広域連携数100件達成へ」 関東運輸局、3年目となる江戸街道プロジェクトアドバイザリー会議で中間目標を設定

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 国土交通省関東運輸局は6月18日、地域連携促進企画として取り組む「江戸街道プロジェクト」の取り組み報告や今後の方向性を議論する「第4回江戸街道プロジェクトアドバイザリー会議」を東京・八重洲のグラントウキョウサウスタワーで開いた。観光関連の団体、事業者、大学、銀行などからなる委員が参加。2024年度は、観光庁補助事業を活用した江戸街道プロジェクト関連案件の支援や、江戸街道をテーマとしたイベントの開催などに取り組む。また、新たに2027年度までの中間目標を発表。2027年に神奈川県横浜市で開催予定のGREEN×EXPO2027を大きな節目と捉えて、広域連携数100件を目標に掲げるなど、江戸街道プロジェクトとの相乗効果により広域関東における連携を一層促進させることを目指す。

  江戸街道プロジェクトは、広域関東(1都10県)の魅力を「江戸街道」という統一テーマでブランディングし、街道観光の推進を通して地域を活性化する取り組みで、関東運輸局が2022年度から主導。観光資源が単体ではなく複数で連携することで相乗効果を生み、魅力度や発信力の向上、集客増につながる取り組みとして期待されている。

 同プロジェクトではこれまで、有識者会議の設置にはじまり、推進ビジョンの策定やロゴマーク作成、リーフレット作成、街道観光シンポジウム開催、オンラインセミナー開催、専門家マッチング事業、街道観光資源の再編集、街道観光プラットフォーム(仮称)構築による街道観光振興への効果検証事業などを行っている。

地域間連携や街道観光への誘いへの取り組みを展開

 冒頭、関東運輸局の勝山潔局長は、「江戸街道プロジェクトは3年目を迎えたが、今後に向けて新たな中間目標を設けた。新たな体制と共に達成に向けて取り組んでいく」と新たな方針について説明した。今後は、短期、中期で設定したKPIを達成を達成しながら事業効果の最大化を図る。

勝山潔局長
勝山潔局長

 プロジェクトの取り組み状況の報告では、①観光庁補助事業を活用した江戸街道プロジェクト関連案件の支援②江戸街道をテーマとしたイベントについて③2024年度分散型宿泊取組推進支援事業—について発表した。

 観光庁補助事業を活用した支援においては、地域の観光資源を活用した地方誘客に資する観光コンテンツの磨き上げや発信を行う「地域観光新発見事業」1次採択案件の8件、これまでにないインバウンド需要の創出や、期間限定の特別な体験を提供する「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業(特別体験事業)」で採択された6件の事業について、支援を行っていく。

 江戸街道をテーマとしたイベントは、江戸街道プロジェクトをより活性化させるために、各地域で情報発信を行いさらなる協力者の獲得や、イベントをきっかけとした地域間連携の深化、実際に街道を訪れるためのきっかけづくりが目的。10月中旬から11月中旬の金・土・日のうち1日もしくは2日間に東京メトロ三越駅前などで実施を予定している。イベントでは、各市長やDMOから参加を募り、江戸街道および地域をPRできるような室内型出展イベントや、各ブースを宿場町に見立てた街道観光のプチ体験などを提供する。

 分散型宿泊取組推進支援事業は、既存の観光資源の磨き上げなど、地域の観光振興および機運醸成を図りながら、将来的な「分散型宿泊」の整備へとつなげる。支援団体・(地域)は、かながわ西観光コンベンション・ビューロー(神奈川県南足柄市)、みなかみ町観光協会(群馬県みなかみ町)の2つ。各地域においては、支援団体にヒアリング行うなど意見交換を行うほか、有識者からの助言を得ながら支援を推進していく。支援は、8、9月からの開始を予定している。

2027年「GREEN×EXPO2027」に向けて中間目標を設定

 関東運輸局の近藤光則観光部長は、今後の方向性としてGREEN×EXPO2027を節目として捉えた中間目標を発表。広域連携数100件を目標として掲げながら、中期KPI(2025~27年度)として、観光地域づくり・連携支援として旅行商品化数が10件、ブランディング強化としてロゴマーク届け出件数が50件、プロモーション展開としてプラットフォーム掲載コンテンツ数300件といった数値を紹介した。近藤観光部長は「目標の達成が大きな相乗効果を生む」と語った。

 参加した委員からは、3年目に入ることから自走を目指した取り組みの展開、江戸料理が楽しめる店のマップ作成、一般の人への江戸街道プロジェクトの理解促進、地域の人たちの関わり方の在り方、江戸に捉われ過ぎない歴史・街道旅の提案、今後におけるブランディングや統一テーマの設定といった声が上がった。

日本観光振興協会総合研究所顧問で座長を務める丁野朗氏
日本観光振興協会総合研究所顧問で座長を務める丁野朗氏

 今回参加した江戸街道プロジェクトの委員は次の通り。(順不同・敬称略)

 日本観光振興協会総合研究所顧問:丁野朗(座長)▽リクルート地域創造部部長:高橋佑司▽三菱総合研究所主任研究員:宮崎俊哉▽跡見学園女子大学兼任講師:山崎まゆみ▽足立成和信用金庫理事長:土屋武司▽ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構相談役:岡村清二▽国土交通省関東運輸局長:勝山潔 ※欠席・実業家:ルース・マリー・ジャーマン▽全国街道交流会議専務理事:古賀方子▽日本ウオーキング協会事業統括専務理事:井上成美

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

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