1939年開港、前身が大阪第二飛行場という伊丹空港、正式名称は大阪国際空港と言います。関西圏を代表する国際空港でした。しかし、1994年に関西国際空港の開港によって、国内線の専用空港となりました。
制限付きを乗り越えて・・・
運用時間が7時から21時まで。そして、発着回数が一日あたり370回と制限されています。その中で、定時発着の効率性において、さまざまな賞を受賞しています。また、滑走路は、A滑走路 (1,828 m) とB滑走路 (3,000 m) の長短2本。A滑走路が中途半端な長さなのは、戦後、占領軍の接収下に置かれていたために、「ヤード法」が採用されたからです。1,828mはちょうど2,000ヤードなのです。
大阪府と兵庫県にまたがる場所。着陸機は大阪市内を一望にしながら降下していきます。そのため、騒音などの住民訴訟が相次ぎ、関西空港開港によって、廃止も議論されました。しかし、「関西」「伊丹」「神戸」という3つの空港を使い分けることによって、関西圏の航空路線は、さらに広がる。そして、関西経済圏の復権につながる。そのことから伊丹空港の存在意義は高まりました。
空港ターミナルは、どのような感じ・・・
2012年、伊丹と関西の二つの空港会社が統合されます。この統合は、巨額な負債を抱える関西空港を伊丹が支援するもの。そのため、空港運営権を民間へ売却し、収益構造の改善を進めました。そして、2016年に関西エアポート株式会社による運営が始まりました。
当時、伊丹はターミナルビル工事が、常に行われていました。そのため、お客さまからは「不便極まりない」と酷評されます。しかし、その工事も大規模改修を終え、2021年に完成を迎えました。新しくなった空港は、ただ単なる乗降場所からアミューズメントタウンへと変貌を遂げたのです。
かつて、エアポートホテルと名乗っていたホテルも2010年に大阪空港ホテルに改称。全館リニューアル・オープンを果たし、ターミナルビルの中央棟に位置しています。雨にも濡れずに空港に赴くことのできる最良のホテルとなりました。
また、搭乗ゲートまでの導線も、まるで、テーマパークに居るような雰囲気です。セーフティゲートを抜けると、軽い食事やお土産の購入も導線上に設置されています。そのため、気が付くと自然と消費行動に入っているという工夫が見られます。
集い楽しむ場所に・・・
鉄道の駅も進化していますが、空港も旅立つ場所から集う場所に変化しています。移動手段から観光目的への変化、まさしく、乗りに行くのではなく、楽しみに行くアミューズメントタウンです。
昔は高速道路が終点。そのため、主要ターミナルからのリムジンバスは、空港手前で大渋滞にはまります。空港に到着すると走ってチェックインするなどもしばしば・・・。また、搭乗便に乗り遅れるお客さまも少なくなかったと悪しき記録もありました。しかし、今では、空港北部に接続する高速道路も延伸され、東西南北へのスムーズな移動ができるようになっています。
国内線のみの中心「伊丹空港」ですが、何度でも「伊丹空港に赴き遊びたい」と思える場所に進化して欲しいものです。また、空港周辺部になりますが、千里川土手の上を、至近距離で通り抜ける航空機の雄姿も見上げてみたいと思っている今日この頃です。
寄稿者 観光情報総合研究所 夢雨/代表
(これまでの寄稿は、こちらから)https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=181