海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」を運営する、令和トラベルでブランドやコンテンツなどを担当している向井が、実際に訪れた海外の街を紹介していく連載。ブランディングやカスタマーエクスペリエンスの観点から、個人的に感じたその街の魅力を深掘りしていく。
トレンドの発信地、ソウル
さまざまなSNSで見るようになった、「韓国XXX」という表現。韓国メイク、韓国女子、韓国風ポーズ、韓国ファッション、韓国っぽインテリア、韓国式プリクラ…などなど、生み出され続けるトレンドは枚挙にいとまがない。
K-POPアイドルやTikTokからのブームをはじめ、流行の発信源は韓国であり、そしてソウルであると感じる方も多いのではないだろうか。かくいうわたしも、韓国コスメの新作をチェックしたり、「韓国で人気爆発中!」なんてキャッチコピーの商品を思わず手にとっている。
そうなってしまうと、次に目指すのは「渡韓」となる。「韓国旅行」ではなく、「渡韓」と言われ始めたのは、観光だけでなく、美容や推し活などさまざまな理由によって韓国へ行くようになったからだろうか。
2023年6月、わたしもようやく渡韓することができた。目的地はソウル。韓国へ行くのは3度目でまだまだ初心者だが、実際に行って改めて感じたソウルの魅力について書きたいと思う。
今回は主に人気ショップについて紹介する、前編。
進む、ショップの空間的魅力
アイドルの世界的な人気によるインフルエンス力や、コスメやスキンケアなどの商品力はもちろんだが、実際にソウルへ足を運んで感じたのはショップの空間的魅力だった。
まるで美術館、なんてSNSで表現されることも多いショップの数々。実際に見てみると、なるほど本当にそうだ。商品をたくさん並べることなく、ディスプレイでイメージ映像が流され、アート作品が展示されている。まるでインスタレーションだ。
日本でも人気爆発中のフレグランスショップ「TAMBURINS(タンバリンズ)」。わたしが行ったのはカロスキル店。入り口からすでに余計なものが排除され、美しさすら感じる。
店内には巨大なディスプレイがあり世界的人気アイドルを起用した映像が流れる。さらに、大きな馬の展示も。香りやパッケージでも人気だが、TAMBURINSのブランド力を押し上げているのは、この空間なのでは。
こちらも人気爆発中、サングラスブランドの「GENTLE MONSTER(ジェントルモンスター)」。壁面を利用して、コラボレーション中のビジュアルを効果的に見せている。
ショップ内の装飾は、かなり尖ったクリエイティブ空間。まるで現代アートの美術館のよう。カロスキル店には、写真のような彫刻風のものや、宙吊りにされたゾウのオブジェが展示されていた。
注目の韓国ブランド「Martin Kim(マーティンキム)」を取り扱うセレクトショップ「HOUSE BY」。一度見たら忘れられない、印象的な外観。
店内は、商品だけでなくハイセンスなアート作品の数々が、空間を贅沢に使って展示されていた。アートやインテリアによって、作りたい世界観を表現している。
どのお店も入ったその瞬間から、ブランドが表現したい世界に足を踏み入れた感覚になる。
といっても、注目すべきはその世界観だけではない。TAMBURINSは香りやハンドクリームをいくらでも試せるし、GENTLE MONSTERでもたくさんのサングラスを試着できる。空間作りはもちろんだが、カスタマーの体験もしっかり設計されている。
展示や体験をSNSにあげる人も多い。UGC(User Generated Contents)の生成にも一役どころか何役も買っているだろう。
オンラインでなんでも買える時代だが、久しぶりにリアル店舗での購入体験の良さを感じられたソウル旅だった。
後編は、ソウルのホットスポット「聖水(ソンス)」を紹介する。
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(つづく)