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スキマバイト「タイミー」が上場、高い成長率の「観光」などを伸ばしてグローバル展開へ

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 スキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミー(本社・東京都港区、小川嶺社長)は7月26日、東京証券取引所グロース市場に新規上場した。小川社長は学生時代の20歳で創業し、27歳での上場となった。同日、東京都内で記者会見を実施し、今後の事業戦略などを説明した。小川社長は、タイミーが日本における労働人口の減少、人手不足に対応するサービスで約770万人のユーザーを獲得するなど急成長を遂げてきたことを振り返りながら、スポットワークが拡大した先について言及し、「『はたらく』の固定概念を変え、データを活用して変革していく」と話した。今後は、主軸である物流、飲食、小売りの3つの業種に加えて、高い成長率を見せる「観光」をさらに伸ばしていく。また、「国内で培ったノウハウを生かし、将来的なグローバル展開も目指す」と小川社長は先を見据えた。

 同社は2017年8月に設立。「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げ、スキマバイトサービスとして「タイミー」を提供してきた。「タイミー」では、各業界での研修会・講習会の実施やアルバイトが全員スポットワーカーの居酒屋「THE赤提灯」、さらには2023年に追加した新機能「バッジ機能」など、働き手(ワーカー)のスキルや実績を蓄積し、可視化する取り組みを進めている。ワーカーは、希望する案件に申し込むだけで、履歴書や面接をすることなくすぐに働け、勤務終了後にはすぐに賃金を受け取れる。現在は、働ける場所が約25万拠点あり、約770万人のユーザーを抱えている。従業員数は1000人を超えている。

記者会見の様子
記者会見の様子

業界トップのマッチング、稼働率は88%

 記者会見では、小川社長が日本の労働環境について言及。日本では労働人口の減少、人手不足が顕著となり、企業主導ではなく、働き手に寄り添うようサービスが求められていることを説いた。また、タイミーの強みとして業界トップ率のマッチングの高さを上げ、稼働率は88%であることを明かした。他社が、アプリのダウンロード数を強みとして挙げていることについては、「評価制度といった機能や、エリアごとのサポート体制などの充実が重要。ダウンロード数は意味がない」と切り捨てた。現状において30%としている手数料については、高い稼働率を強みとするとともに、同時に質や価値を高めながら維持していく方針を示した。

記者会見で答える小川社長
今後の展望を述べる小川社長

ホテルなど「観光」が急成長

 さらなる成長に向けては、物流、飲食、小売りの軸となる業界のほか、急成長するホテルなど観光、介護、製造業など、業種を拡大していく予定。また、利用可能エリアにおいても、地域と連携しながら全市町村でのタイミーの利用実現化を目指す。スキマバイト事業以外においても、金融(フィンテック)領域を中長期戦略の一つとして検討していく。給与のデジタル払いについては、基本的なリサーチを行っており、ユーザーのニーズやトレンドに対応していく考えだ。

 今後の戦略では、募集人数や事務所数を増やして安定利用を目指す①既存クライアントとの取引拡大、エリアの拡大や新規業界・業種を拡大する②Go to Market戦略、蓄積データの活用や事業者とワーカーが使いやすいプロダクト開発を行う③継続的なプロダクト開発―を掲げている。

 小川社長は、アプリとしてのタイミーの点数評価について、「60点」と答えた。足りないものとして、「バイト仲間」を挙げ、「アルバイトに比べて友だちが作りづらい環境となっている。帰属意識が生まれるようなコミュニティ機能を充実していきたい」と話した。一方で、現状においてもしがらみのなさといったメリットがあることもアピールした。また、現在でも年に1回以上はタイミーのサービスを使い実際に働いていることを紹介。「少なくとも5年間は働きたい。今後もタイミーで働き、現場体験からクリアな戦略を打ち出したい」と述べた。直近は、東京ドームで働いたことを明かした。

 タイミーの初値は1850円で、公開価格の1450円を28%上回った。初値ベースの時価総額は約1760億円。

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

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