学び・つながる観光産業メディア

JATA、社会の信頼回復して「2024年での完全復活」へ

コメント

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長〈JTB会長〉)は7月18日、記者懇談会を東京・霞が関で開いた。髙橋会長は、旅行業界の完全復活や、改めてコンプライアンスの取り組み、元日に発生した能登半島地震への支援などを説明した。コンプライアンスにおいては、「2021年以降、複数の不祥事が続いている。再発防止策を着実に実行し、旅行業界から不正事案を一掃することで、社会の信頼を回復したい」と訴えた。

 JATAでは、会員会社による国や自治体からのコロナ関連の受託事業や雇用調整助成金の不正請求、談合など複数の不祥事が発覚したことから、2023年12月には再発防止に向けた有識者委員会を設置するなど対策を実施。以後、コンプライアンス推進室を新設するほか、懲戒規定の制定、公務受託事業に係る研修などに取り組んでいる。

髙橋会長
髙橋会長

 記者懇談会では、髙橋会長のほか、小谷野悦光副会長(日本旅行社長)が国内旅行、酒井淳副会長(阪急交通社社長)が海外旅行、百木田康二委員長(東武トップツアーズ社長)が訪日旅行の現状と、今後の取り組みを発表した。

 髙橋会長は、旅行業が発展、成長するために重要なポイントとして①海外旅行の拡大②高付加価値化③協調と共創④休み方改革⑤人材確保—の5つを挙げた。今後の懸念点としては、国内や訪日旅行と比較して回復が遅れている海外旅行を挙げた。解決に向けては、低下しているパスポート所持率の上昇や、海外留学や修学旅行の回復を挙げた。髙橋会長は「若い人たちの海外旅行離れが進んでいる。これは国際競争力そのものに影響する」と警鐘を鳴らした。

 能登半島地震への復興支援としては、義援金寄付や北陸4県での商談会を継続するほか、ツーリズムEXPOジャパン2024で北陸応援コーナーを設けることを明らかにした。

 国内旅行については、小谷野副会長が宿泊需要が回復傾向にあることを説明。一方、マーケットの回復に比べて旅行会社の取り扱いが伸びていないことを指摘した。今後は価値ある商品の企画・販売や、地域と連携した需要創出、価値創出を目指していくことを誓った。

 海外旅行については、酒井副会長が2019年比で60.9%と回復途上であることをデータで示した。2024年は海外旅行自由化60周年を契機として海外旅行の完全復活元年と位置付け、今後は二国間交流やファム・研修ツアー、商談会など積極的に展開していく。

 訪日旅行について、百木田委員長は2019年比で28%増と堅調であることをアピール。一方で、回復率について地方でのバラつきが見られることから、平準化による地方への誘客を進める方針を示した。また、インバウンドの受け入れ拡大にむけた喫緊の課題として、人手不足や2次交通の整備、外国語を話せるスタッフの不足、国際線の地方路線の複便遅れなどを挙げた。

 このほか、原優二副会長(風の旅行社社長)が、JATAビジネスマッチングサイトの効果を発表。インバウンドやDXに関する募集に人気が集まっていることを明らかにした。

 美甘小竹社会貢献委員長(フィンコーポレーション社長)は、JATAが取り組むSDGsアワードを通じた旅行業界が取り組むSDGsの事例を紹介した。

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/
/