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観光を真のリーディング産業に!~沖縄の現状を伝えます~

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観光は、県民総生産20%を生み出す

 沖縄県は、観光に関わる総生産額が高い。他県と比較すると二位の山梨県でも10%、一番低い県ではわずか1%である。それは、他県と比べても資源はなく、農作物も少なく、工業もない中で、観光は沖縄のリーディング産業なのだ。

観光は沖縄のリーディング産業だ!」選挙に立候補するものは、声高に訴える。

 しかし、選挙が終わるとパタっとその声は消える。行政は「観光発展に力を入れる!」という割には観光に直接関係する予算や施策、法律はその位置付けからみてもあまりに少ない。結局のところ民間企業や個人がビジネスを行うことで発展している状況である。

コロナ禍での人流の制限は、沖縄の観光産業は瀕死の重症を負わせた

 度重なる緊急事態宣言。令和2年度で国が発令したものは25日間、沖縄独自の発令は76日間の合計101日間。1年のうち約3割の期間緊急事態宣言等が実施された。令和3年度は国が出した蔓延防止措置82日間、緊急事態宣言133日の合計215日。1年のうち約6割の期間、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が実施された。

 沖縄県内の飲食業には1,700億円の協力金が配られ、観光業には別の形で補助金などがあったが、その規模からみても雀の涙にも満たないものであった。我々、観光業会は人流を止められたが休業要請もなく、ホテルを営業してもお客様はいなかった。ただただ、お客様が戻ることを希望に、館内環境の整備スタッフ教育に時間を注いだ。

 レンタカー会社は、自らの車を売り資金を作った。

 地元の旅行会社は、自らの建物を売却した。

 バス会社は、自社のバス駐車場を売却した。

 宿泊業は、資産売却や借入れを続け雇用を維持してきた。

 観光人材の流出が進んだ。観光インフラは壊滅的なダメージを受けてきた。

売上を作るだけで、背負ったものを取り戻すにはほど遠い

 もちろん旅行支援の施策などは大変ありがたいことではあるが、それはあくまで、現在の売上を作るだけで、これまで追った負の部分を取り戻すにはほど遠い。これまでの観光インフラを取り戻すためにも、B /Sの部分を元に戻すような施策が必要であると考えている。フランスは、全ての業種に対して、ルールに則り赤字を補填してきた。アメリカのハワイは、最大5万ドルまで赤字を補填した。

日本は?沖縄は? これまで観光事業を営み地域に貢献してきた企業や個人には、借入れを促すことはあったものの直接的な支援はないに等しい。これからコロナの重荷を背負いながら、事業を復活させることができるのか?見えない状況にある。我々、観光業界は行政や議会に対しコロナの総括を行うよう訴えている。このままだと何もなかったように過ぎていくのではと心配している。

チャンスととらえ、沖縄に進出してくる人々!

 そして、この状況をチャンスととらえ資金の潤沢な海外・本土企業、個人が沖縄へ進出している。新しいホテルや宿泊施設が大幅に増えている。2020年から2023年の3年間で、軒数だけでも3,000から3,600軒。客室数が54,000から63,000室と約2割増加。そして2024年も増え続ける。

 もちろんこのような投資が進むことは喜ばしいことではあるが、急激に過剰な投資がなされ、観光入域者数も戻らない状況では単に競争が激しくなるばかり、そして人材の取り合い、人件費などの上昇で経営は厳しい。

 それ以上に、沖縄観光業の人的サービスは十分な品質にあるのか?いらっしゃったお客様に満足してもらい、リピートしていただけるのか?そして、沖縄県民が観光から恩恵を受けていると感じられるようになるのか?観光業の地位向上ができるのか?そして観光資源・自然を持続可能に守っていけるのか?

 沖縄は大きな課題を抱えつつ入域客は徐々に増えつつある。

(つづく)

寄稿者 金城仁(きんじょう・ひとし) ホテルサンパレス球陽館・パレスインムーンビーチ 代表取締役

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