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第8回「地域団体商標」活用事例(工業製品編)

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 前回に引き続き、地域団体商標の活用事例を紹介させていただきます。

 今回は、新潟県の「五泉ニット」の活用事例です。

地域団体商標「五泉ニット」について

 新潟県五泉市は、江戸時代に織物産業が生まれ、明治・大正・昭和と羽二重を製織する産地として栄えました。戦後はその基盤を活かしてニット産業が興り、現在は婦人セーターが国内トップの生産額を誇る日本一の「ニットの町」として新しい商品を発信し続けています。さらに地域団体商標を取得することにより認知度を上げて、ブランド力を高めることに産地一丸となって取り組んでいます。

産地一丸で取り組むブランド化事業のもと地域団体商標を取得

 五泉の強みは、染色・整理・刺繍・プレスといった二次加工技術が集積し、染色から製品の完成まで産地内で完結できることです。また、品質管理も徹底的に行い、商品の優れたクオリティは業界内で高い評価を得ています。一方で、基本はアパレルメーカーのOEM生産であるため「五泉」の名前は表に出ず、一般消費者の認知度が低いという状況がありました。そこで、2015年に五泉ニットブランド化事業を立ち上げ、ニット産地としてのブランドの確立を目指した活動を開始。2017年2月に「五泉ニット」のシンボルとなるブランドマークを発表し、同年10月に、「五泉ニット」について、地域団体商標を取得しました。翌年4月にはシンボルマークも商標登録を行い、組合の認証委員会が商品一点一点を厳しく審査した上で承認したものだけにブランド織ネームを付けることを許可しています。「五泉ニット」のブランド名のもと、高品質の商品であることを明確に伝え、認知度の向上も図っています。

プロモーションを積極的に展開し全国区のブランドへ

 地域団体商標登録後は、県の内外でPR活動をより積極的に行っています。五泉市では毎年「五泉ニットフェス」を開催。一般人が普段見ることができないニット工場の見学や地元高校生のアイデアによるツアー、ニット販売会などを通じて「五泉ニット」を身近に感じることのできるイベントで、市の内外から集まった大勢の人で「ニットの町」がにぎわいます。その一方で、2018年からは東京の銀座や新宿をはじめ、仙台や大阪などでも展示会を開催するなど、「五泉ニット」を全国区のブランドにするための取り組み力を注いでいます。一連の活動が功を奏し、「五泉ニット」ブランドへのオファーは着実に増加しています。

 さて、次回の第9回は、「地域団体商標」活用事例(伝統的工芸品編)についてお話します。

★地域団体商標制度や登録産品に関して詳しく知りたい方はこちら!

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/index.html

寄稿者 特許庁 商標課地域ブランド推進室

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