銀杏は、古代植物の生き残りと言われる。そして、現在では日本と中国の一部にしか残っていない木である。耐寒耐暑性があり、強健で抵抗力も強い。また、病害や虫害がほとんどないと言われている。そして、成長が早く寿命の長いこと、大気汚染や剪定、火災に強いという特性を持っている。そのため、各地で街路樹としても利用されている。全国に約57万本もの銀杏が植えられている。
夏場は、蒼々とした姿を見せる。しかし、晩秋ともなると、「いちょうもみじ(銀杏黄葉)」と呼ばれる黄金色となるのだ。都内でも、有名となった並木道などは、秋の風物詩となっている。
緑豊かな町を目指して
かつて、東京都は緑が少ない町と言われた時代があった。そのため、東京都の木を選定することとなった。1966年のことである。3つの候補(ケヤキ・イチョウ・ソメイヨシノ)が最終選考に残り、一般投票で銀杏に決まった。
また、都のシンボルマークは、イチョウの葉をデザインしたものと説明される場合もある。しかし、公式には、アルファベットの「T」が由来としている。(なお、大阪府や神奈川県の木も銀杏である)
気づくと寺社には荘厳に・・・
さて、銀杏は、国内では、神社仏閣に多く植栽されている。有名な巨木や並木は、寺社の境内にあることが多い。しかし、民家に植えるのは忌み嫌われる傾向があった。その理由は、銀杏の実の独特の匂い、落葉に悩まされることにある。長寿ゆえ、大木になると管理も大変になることも、その理由と言える。
「長寿」「鎮魂」「荘厳」といった花言葉の銀杏、町中で、その並木を愛でると荘厳そのものだ。また、寺社の境内では、長寿・鎮魂と縁起が良いこともあるだろう。
晩秋から初冬、黄色の葉がキラキラと光る姿は、とても清々しく、力強さを感じるものである。素敵な景観だ。
都内の銀杏を少しだけ・・・
(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8
取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長