国がDMOに示した「三方良し」の条件はかなりハードルが高そうだ。最近新たに示されたガイドラインでは、観光立国推進基本計画に沿って「世界的なDMO」を目指すことで、国内のDMOを強化していく新たな方針が打ち出された。そうした中で、現在200を超えるDMOの中で先駆的に取り組むところとそうでないところの優劣をつけるとしている。その目指すべき「世界的なDMO」の二つの要件が「観光による受益が広く地域にいきわたり、地域全体の活性化を図っていること」「誘客/観光消費戦略が持続的に策定される組織体であること」だ。
DMO、先進事例の現状
全国各地の先進事例とされるDMOの活動を見ていると、後者の要件に沿った取組みは比較的進んでいるように思う。特にリソースが限られる地方でマネタイズしていく事業のアイディアは大いに参考になる。一方で、前者の地域内の連携はどうだろうか。合意形成に向けた活動は各地でカタチが見えてきているだろうか。まだまだ行政頼みで、DMOがマネジメントするレベルには至ってないように感じる。
どうする、公共性の担保
地域がDMO設立の議論をする時に課題となるのが「公共性」をどうやって担保するかだろう。元々、観光開発に使う地域の資源は誰のモノでもない。その公共の財産を活用させてもらってビジネスを始めようとするわけだから、地元に断りを入れておくことも大事だろう。
インバウンドは始まったばかりの急成長マーケットだ。彼らのニーズがどこにあるか探りながらのビジネスは当面続いていく。又、オーバーツーリズムを繰り返さないよう、受入側の戦略と丁寧な準備が求められる。
寄稿者 福井善朗(ふくい・よしろう) 山陰インバウンド機構 前 代表理事