学び・つながる観光産業メディア

オーバーツーリズムの京都 それでも燃ゆる紅葉見ぬはツーリスト、いや日本人として悲しい

コメント

 日本の古都、京都のオーバーツーリズムは今や、季節を問わず目にする光景となった。市内路面交通(バス、タクシー、自家用車等)は日常的に混雑し、目的地へのアクセスを困難にする。特に、春と秋の観光シーズンの混雑は想像を絶すると言われる。清水寺、嵐山、嵯峨野、銀閣寺など人気観光地への日帰り弾丸観光には、無理が重なる。それでも、京都市内の観光名所への人出が絶えない京都のオーバーツーリズム。

 ただし、市営地下鉄や京阪電鉄を利用し、最寄駅から歩く手段が残されている。11月、紅葉に燃ゆる京都のお寺観光は、誰にとっても秋の行楽の最人気箇所。電車利用の紅葉観光を2題紹介しよう。

ライトアップも見逃せない 3000本が色づく永観堂禅林寺

 市営地下鉄南禅寺駅から徒歩10分、浄土宗西山禅林寺派の総本山、永観堂禅林寺の境内から見上げる「多宝塔」と裏山を埋める紅葉は、圧巻である。京都の紅葉は、11月から色づき12月まで京都の各地を彩る。永観堂禅林寺の紅葉は、京都の中でも屈指の見所。楓の木は永観堂全体で3000本余り、京都ならではの紅葉観光が楽しめる。寺の多宝塔に上り永観堂全体の紅葉景色を観るのもよし、寺の本堂を巡り、池泉回遊式庭園の紅葉に染まった庭景色に魅了されるのも良い。京都紅葉観光の粋を心ゆくまで愉しめる。もちろん夜間の紅葉のライトアップも楽しめる。

渡り廊下からの眺めに魅了される東福寺

 京阪電車東福寺駅から徒歩10分、紅葉の名所として誉れ高い東福寺。混雑が予想されるが、東福寺の紅葉観光は寺の案内に従って進むと思ったより整然と紅葉観光ができる。東福寺では紅葉を見下ろす高い視点に立てば、圧倒的な広がりを感じられる。

紅葉燃ゆる永観堂の多宝塔

 特に、寺と寺を繋ぐ三大名橋と呼ばれる渡り廊下から見晴るかす紅葉林は素晴らしい。東福寺一帯に広がる紅葉林、その数、3000本余り。三大名橋の中でも通天橋と呼ばれる回廊を取り囲む紅葉林を見上げるもよし、通天回廊に上り、周囲の紅葉燃ゆる山林を見下ろすもよし。臥雲橋(がうんきょう)から周囲の紅葉を見晴るかすもよし、寺の七堂伽藍で各々の伽藍の庭木紅葉を鑑賞するもよし、さらには広大な東福寺境内の紅葉樹林に身を埋めるもよし、紅葉の遠景、中景、近景のいずれも圧倒的な美しさだ。東福寺では、夜間の紅葉のライトアップを楽しめることも言うまでもない。

東福寺の三大名橋の一つ、通天橋(渡り廊下)周囲の紅葉を仰ぐ

目で楽しんだ後は、舌で堪能、花見小路に立ち寄り京料理と伏見の清酒

 食通ならずとも、京都に遊べば、京料理に箸を通すことは、ツーリストのマスト。街中どの京料理屋さんも伝統の食材と調理にこだわりをもって客の来店を待つ。中でも祇園花見小路の京料理店に立ち寄りたいと、ツーリストの願望は極まる。長く地元京都人に親しまれてきた花見小路の伝統料理店は、一般観光客を受け入れるようになって久しい。

夜更けまで観光客で賑わう祇園の花見小路

 筆者が訪れる料理店は、花見小路中央に店を構える「きらら」店。カウンター席9席、奥座敷6席、こじんまりしているが、京都ならではの伝統料理が楽しめる。小皿を重ね、京都伏見の清酒を嗜み、魚の一品料理を頂けば、その夜の満足感は例えようがない。腹七分の会食であれば、1万円を超えることはない。

(2017年の現地取材及び2024年の現地情報に拠る)

寄稿者 旅行作家 山田恒一郎 (やまだ こういちろう)

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/
/