冬の夜を楽しませてくれるイルミネーション。駅からの帰り道、民家の庭や窓が灯りで彩られているのを見るのも楽しいけど、今回はもう少し規模の大きな東京イルミネーションから、編集部3選をお届けする。行ってきたから間違いない。
第1位 よみうりランド「ジュエルミレーション」、開園60年でテーマはダイヤモンド、ツイン観覧車なんて見たことない
東京都稲城市と神奈川県川崎市にまたがる老舗遊園地は、今年開園60年を迎えた。ここでは15年前から照明デザイナーの石井幹子さん監修で、灯りを宝石に見立てた「ジュエルミレーション」を開催している。今年のテーマはダイヤモンド。結婚60周年を祝うダイヤモンド婚にちなんだ。
開会式典で石井さんは「今は、ダイヤモンドは白だけではなくピンク、オレンジ、イエローもあります。これらをイメージした新しい光を堪能してほしい。モニターや紙媒体ではなく、自分の目で見てほしい。光りは浴びるものです。手の平で光を感じてください」とスピーチしていて共感した。
見どころの1つは開園60周年を記念し新設された観覧車。既存の観覧車と合わせて、1月13日までの期間限定でツイン観覧車を楽しめる。これは見たことなくて壮観だった。
観覧車2つに乗り、高所から会場や東京都心の夜景を眺めた。いくつかの乗り物にも乗って、ビールタイムを入れて約3時間滞在した。
来場者は学校帰りの制服の中高校が多く、ときどき乗り物から若い歓声が聞こえる。日本人の年齢の中央値は48歳程度らしいけど、ここでは自分を入れても中央値は20歳代に違いない。自分もずいぶんと若返って嬉しかった。
都心からよみうりランドへのアクセスは小田急線や京王線で。どちらも新宿駅が起点になるけど、お勧めは京王よみうりランド駅の利用。駅や駅前も灯りで飾られていて、楽しくなるし、なんといっても駅から園までゴンドラで行けるのがいい。
選べるなら後ろ向きの席。高度が上がるにつれて、眼下に多摩の景色が広がっていく。右手には東京都心。東京タワーも東京スカイツリーも見える。明るい時間なら左手には奥多摩の山々が見える。
第2位 まとめて日本橋・丸の内・日比谷、三井不動産VS三菱地所、木を伐るか灯りで飾るか
イベント名としては「日本橋イルミネーション」、「丸の内イルミネーション」、「日比谷マジックタイムイルミネーション」の3つに分かれているけど、まとめて歩ける。
日本橋イルミネーション
まずは三井不動産おひざ元の日本橋。起点にしたのは東京メトロ日本橋駅。中央通りを神田方面へ、日本橋を渡ってCOREDO室町テラスを目指す。どこにイルミネーションがあるんだろうと探すくらいに派手さはない。
中央通りと交差する路地の木々が灯りで飾られていて、このあたりが会場だろうか。灯りは黄色く見えたけど、主催者は「日本の伝統色の橙色」と言っている。街並みは静かでいつもの夜といった様相。イルミネーション目当ての人ごみはなく、路面店の飲食店も空いていた。
でも、ここでは重厚な建物群のライトアップを楽しむ。三井不動産の本社ビルの三井本館や日本橋三越本店、裏に回り込んで西河岸橋から望む日本橋や永代通りを渡り戻って日本橋高島屋本館と、いずれも国の重要文化財に指定されている。途中にある暗い日本銀行もライトアップすればいいのにと思う。
丸の内イルミネーション
永代通りから三菱地所のおひざ元で、丸の内イルミネーション会場の丸の内中通りに入る。左右の並木が灯りで飾られているけど、ここから行幸通りまでは人は少ない。灯りは日本橋界隈の黄色から、主催者が「シャンパンゴールド」と呼ぶ白に変わった。イベントは1999年に始まり、今回が23回目だそうだ。コロナで2年間休止したんだと引き算して思った。
東京ミレナリオとして始まった1回目を歩いた。年も押し迫った時期に、短期間の開催だったと思う。たくさんの人出で中通りは一方通行。警備員が「立ち止まらないでください」と連呼するほどの雑踏だった。
左手に、東京駅を眺めながら行幸通りを渡った先は、たくさんの人出だった。イベント名を記したサインボードと記念写真している人も多かった。道路に面した丸ビルにはスーパーマリオの飾りがあった。ここから終点の晴海通りまでは人ごみが続いて、レストランのテラス席はどこも満席だった。
晴海通りの向こうにイルミネーションが見えて、行ってみると東京ミッドタウン日比谷だった。ここには映画「モアナと伝説の海2」とコラボレーションしたクリスマスツリーが置かれていた。1作目は映画館で見たけど、2はどうしようかと思っている。
人ごみは往復しないで、日比谷通りで大手町を目指したのがよかった。ペニンシュラ東京の横から日比谷通りにでると、皇居外苑お濠の石垣がライトアップされていた。人ごみから離れて、静かな光だった。こちらも監修は照明デザイナーの石井幹子さん。
お濠と石垣の向こうに外観がかっこいいパレスホテル東京が見えた。ほとんどの客室に灯りが点いていて、コロナが終わってよかったと思う。歩いている途中で光は消えた。21時だった。日本橋駅から、途中缶ビール休憩を含めて、トータルの滞在時間は約3時間。
第3位 六本木エリア、けやき坂と東京タワーを撮ったら、ミッドタウン・ガーデンに移動しよう
イベント名は「六本木ヒルズクリスマス」と「ミッドタウンクリスマス」の2つ。前者は「けやき坂イルミネーション」が有名で、イルミネーションと東京タワーを1つの画像に納めるのが腕のふるいよう。通りに信号機付きの横断歩道があって、歩行者側が青の間はスマホを掲げた人が立ち止まり、警備員が注意を払っていた。ここは画像さえ撮れたら移動しよう。
ザ・リッツ・カールトン東京が入っている東京ミッドタウン六本木を通り過ぎて、少し先まで行くと道路を渡ってミッドタウン・ガーデンがあった。ミッドタウンクリスマスのメイン会場はここ。初めて来た。
すぐに木々が灯りで飾られていた。ここのメイン会場はこの先にあった。音楽が聞こえてきて、近づくと光のオブジェ群をスマホをかまえた人たちが囲んでいた。光は緩やかに点滅したり色を変えたり、それはどうやら音楽に合っているらしい。
ぐるっと一周して動画を撮っていると、光のオブジェたちの方から、ちょうど風下にいたこちら側にスモークがかった小さな球体がいくつも飛んできた。はじめは風船なのかシャボン玉なのか分からず、手で掴まえると消えてなくなって、シャボン玉だと知った。何分かごとにシャボン玉は放出されるらしい。
立ち止まらずに一回りすれば10分はかからない小さな公園に30分はいて、音楽と光の移り変わりを見た。ビールの売店はなかったし、夕飯作りの当番だったことで引き上げたけど、掘り出し物のような展示だった。