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被災地応援から育まれた強固な絆、伝統的工芸品の世界展開・食文化の価値向上の実現へ|北前船交流拡大機構 浅見茂専務理事インタビュー

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 江戸時代から明治時代の交易を担った北前船の寄港地が交流する「第35回北前船寄港地フォーラム in 加賀・福井」、 “地域間交流拡大”を強力に推し進め、地域の活性化に向けた課題解決に取り組む「第6回地域連携研究所大会」が2024年11月21~23日に開かれた。北前船交流拡大機構の浅見茂専務理事に、同フォーラム・大会の振り返りや今後の活動について聞いた。(取材は11月26日に東京都内で)

――「第34回北前船寄港地フォーラム in 加賀・福井」「第6回地域連携研究所大会」を終えて。

 6月28、29日に開いた釧路のフォーラムにおいて、寄港地の仲間から能登半島地震で被害を受けた被災地の復興のために何かできないかという声が上がり、今回の大会につながった。準備期間はわずか3カ月だったが、出席者はこれまでにない600人という規模で実現できた。

 11月21日に開かれた「北前船日本遺産推進協議会記念大会」には、日本遺産認定ストーリーである「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~」で認定された52認定自治体が出席するほか、文化庁の都倉俊一長官も参加し、全員で被災地を応援できたことはさらに強固な絆が生まれた。大変有意義な会だったと言える。

――多くの地域から能登、石川、北陸の被災地に心が送られた。

 前回の開催地である北海道の有志からは、お菓子500個が贈呈されるほか、SGCの土屋豊会長からは体系の記念オブジェとして、金の「復興のフェニックス」が石川県輪島市に寄贈された。多くの出席者の気持ちを届けられ、絆が深まるとともに、これまで以上に地域への貢献ができた。

 地域貢献の一つの例として、PIZZA-LA(ピザーラ)を運営するフォーシーズからは、「輪島ふぐ」を使ったピザを開発、販売して地域を応援する取り組みが発表された。地元からは、団体や学生が、北前船文化を軸に海外の富裕層を中心としたインバウンドを高付加価値化な観光で磨き、誘客へとつなげる試みが行われていることも発表された。地元にとっては新たな展開につながり、出席者にとっても大きな刺激となったはずだ。皆ができることから応援、支援の取り組みが行われており感謝している。

多くの支援に謝意を述べる浅見専務理事
多くの支援に謝意を述べる浅見専務理事

――伝統的工芸品や食文化についても話し合われた。

 今回の会では、伝統的工芸品の世界展開や地域の食文化の価値向上については、掘り下げて話し合った。幅広い取り組みについて応援できる体制は、観光庁を含めて動き出している。福井のフォーラムでは福井県武生高校の書道部が北前船文化を世界に発信と筆をふるうほか、食文化については、京都・祇園の老舗料亭「菊乃井」の村田吉弘社長が和食文化の世界発信について説いた。われわれの運動、まさしくこれから実現することを表した会となった。

――11月23日には、福井県内でエクスカーションが行われ、盛り上がったと聞く。

 福井県の中村保博副知事が県庁の会議で大変盛り上がったことを報告してくれたが、反響は大きかった。

――次回の長野・松本での大会に向けて。

 糸魚川から塩尻まで続く「塩の道」がメインテーマとなる。長野県、松本市を中心とした実行委員会が動くが、地元が事前に施策を考案し、指導を受け、発表する流れを作っていく。新しい展開が生まれることを期待している。

――今後の取り組みについて。

 何かを考えてくれる人たちが非常に増えた。3年前から伝統的工芸品の世界進出を掲げて活動しているが、2022年のフランス・パリ大会から取り上げ、世界への発信に力を入れてき。地方創生を進めるためには、北前船をフックに具体的にどうするのかを、参画する地域とともに今まで以上に考えていきたい。

聞き手 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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