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第10回「地域団体商標」活用事例(サービス編)

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 前回に引き続き、地域団体商標の活用事例を紹介させていただきます。今回は、東京都の「戸越銀座商店街」の活用事例です。

地域団体商標「戸越銀座商店街」について

 東急池上線「戸越銀座」駅と都営浅草線「戸越」駅に隣接し、JR「大崎」駅、東急大井町線「戸越公園」駅も徒歩圏内という、交通利便性の高いエリアに立地しています。歴史としては大正12年の関東大震災にまでさかのぼり、全長約1.3kmという関東有数の長さを誇ります。現在も生鮮産品の店が多く残り、下町情緒が感じられる商店街です。

 商店街ブランドの先駆けである「戸越銀座ブランド開発事業」(平成9年)で話題を呼び、「戸越銀座コロッケ」(平成21年)を契機に「食べ歩きの街」「下町グルメロケの聖地」として注目を集めました。雑誌やテレビでも多数紹介され、高い知名度を獲得し、週末や祝祭日には全国や海外からも来街者が多数集まる、「着地型の都市型観光商店街」です。

戸越銀座商店街
戸越銀座商店街

地域のみなさまに愛される商店街であるために「戸越銀座ブランド」を開発

 戸越銀座商店街は、地域団体商標権利者でもある3つの商店街振興組合で構成されています。元々は、それぞれ商圏、歴史背景、組合費、土地の価値、組織体制など全て異なり、仲が良くも悪くもない独立した組織でありました。しかし、時代の経過とともに商店街のあり方を考える必要が生じ、1990年代からこれまでクローズアップしてこず埋もれてきた地域資源や地域ストーリーを「戸越銀座ブランド」として立ち上げ、協力してハード面の整備やイベントの開催をするようになりました。

 現在は、食品、酒、被服、雑貨等様々な「戸越銀座ブランド」のグッズも販売しています。「戸越銀座ブランドラインナップ」のリーフレットは、新たに組合に加入した組合員がデザインしていますし、商店街の端まで足を運んでいただくために商店街の端にマスコットキャラクターである銀次郎の像を設置し、銀次郎の持っている玉を触るとご利益があるなどの話題性も持たせています。

マスコットキャラクター「銀次郎」
マスコットキャラクター「銀次郎」

「都市型観光商店街」を目指して

 ブランド化活動の過程で、組合員から「自分たちのブランドを守るべきではないか」との声が上がり、まずは「戸越銀次郎」(第6332768号)とそのキャラクター図形(第6332764号)の商標登録を行いました。その後、関係者とも協力し、地域団体商標の取得まで至りました。

 今では、「戸越銀次郎」「戸越銀座商店街」の商標は、知名度が上がるにつれ使用したいとの申し出も増えています。

 また、活動の結果、認知度が向上し、メディアへの取り上げも増えて現在は1日に1~2件は取材の申し込みを受けています。バラエティ番組で街ブラ企画をする際、最初は戸越銀座商店街であることが多いです。また、以前はサラリーマンへの取材は新橋、高齢者への取材は巣鴨という様に、主婦への取材は戸越銀座商店街が定番となりつつあります。

 商店街としては、平日は従来どおり、地域密着の近隣型商店街として、また地域コミュニティの担い手として、今まで以上に地域に愛される商店街を目指し、土・日・祝日については観光資源として広域から人々が行楽に訪れるような商店街を目指して活動を続けています。

商標使用への申し込みは増加傾向に
商標使用への申し込みは増加中

★地域団体商標制度や登録産品に関して詳しく知りたい方はこちら!

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/index.html

寄稿者 特許庁 商標課地域ブランド推進室

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