「楽天トラベル」の今夏の旅行予約は好調に推移しています。6月初旬の調査では、7~8月の予約状況が19年同期比で約1.3倍と、コロナ禍前を大きく上回りました。今夏の予約傾向には大きく2つの特長がみられています。
エリアと日程が分散化
予約数を元にした人気の都道府県ランキングは上位に大きな変動はないものの、必ずしも人気観光地に予約が集中しているわけではないようです。全国を13エリアに分けて各エリアの予約の伸び率をみたところ、19年の夏よりも今夏の方が、各エリア均等に伸びている傾向が伺えます。限られたエリアが伸びをけん引していた19年よりも、今年は幅広いエリアに人気が分散していることがわかります。
また、旅行日程についても分散化している様子がみられています。7~8月の祝日を含んだ連休期間とそれ以外の期間の伸び率を比べると、19年は連休期間の方が伸びていたのですが、今夏は連休以外の予約の方が増えていることがわかりました。
国内の一部エリアでは、インバウンド旅行者の回復などを背景にしたオーバーツーリズムが話題となっています。一方で、少なくとも今夏の弊社の予約傾向からは、エリアも日程も分散化が進んでいます。背景には、混雑をできるだけ避けたいというニーズがコロナ禍を経て根強いことや、旅行スタイルの多様化、オフピークならではの旅行費用のお得感など、様々な要因がありそうです。
日常から離れた環境でリトリート
今夏は宿泊と航空券を組み合わせたツアーの予約や、高速バスの予約も19年より増えており、自宅からの長距離移動がコロナ前よりも活発になりそうです。離島や高級宿、一棟貸しのヴィラなども平均を上回る伸びがみられています。
非日常的な体験ができる高級宿やヴィラの人気は昨年も高く、当時の状況からは、宿にこもって滞在を楽しみたいという一定の需要が背景にあると考えていました。一方、今年は日常生活が以前の状態に戻りつつあり、夏休みには普段とは異なる環境、日常から離れた環境に癒やしを求める傾向があるのではないかと推測しています。
こうした傾向が今夏限りのものか、今後も続いていくのかについては、引き続き注目していきます。ちなみに私は無事にお休みが取れたら、連休を避けて離島に行く予定です。皆さまもよい夏をお過ごしください。
寄稿者 中原大輔(なかはら・だいすけ)楽天グループ㈱トラベル&モビリティ事業PR推進室オフィスマネージャー