観光庁は3月31日付けで、世界観光機関(UN Tourism)アジア太平洋地域事務所(奈良市)の所長に運輸省(現・国土交通省)入省後、国交省中部運輸局長などを歴任した金子正志氏が就任したと発表した。

組織強化の一環で、同事務所に常勤の所長が置かれるのは初めて。金子所長の就任を受け、同事務所の本保芳明代表は3月31日付けで退任した。
また、観光庁ではこれまで機関の英語表記「UN Tourism Regional Support Office for Asia and the Pacific」から、日本語表記が「UN Tourismアジア太平洋センター」など複数混在していたものを是正し、UN Tourismアジア太平洋地域事務所に統一することにしている。
金子所長は1991年に運輸省(現・国土交通省)に入省。総合政策局交通計画課長、国際観光振興機構(JNTO)理事、運輸総合研究所主席研究員・国際部長、中部運輸局長などを歴任し、2024年に退官した。
就任にあたり金子所長は、「観光の持続可能性」や「観光の強靭性(レジリエンス)」に取り組む考えを示し、「自然災害のみならず、感染症の蔓延や経済危機等の難局に直面した際に、観光への悪影響を如何に最小限に食い止めるか、一刻も早い復興を実現するか、また普段からどんな備えを講じるべきか、といった点は、今まさに検討が求められている新たな課題といえます。こうした課題を踏まえつつ、UN Tourism 本部と連携を取りながら、世界の観光の動向、統計・研究成果や様々な取組に関する情報を関係者の皆様と共有するとともに、アジア太平洋地域から世界に向けた情報発信を推進することによって、世界の観光産業の発展に貢献していきたいと考えております」と述べている。
UN Tourismは、観光分野における国際連合の専門機関であり、観光政策に関する意見交換、技術協力、観光統計の整備、各種セミナーの開催を通じて、世界の観光振興に取り組んでいる。
アジア太平洋地域事務所は、スペイン・マドリードに本部を置くUN Tourismの3つの地域事務所の一つで、アジア太平洋地域を対象に観光施策の推進や加盟国への支援を行っている。