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「本質」を追求するアドベンチャートラベルへ:地域と共に未来を拓く東京山側DMCの挑戦

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はじめに:活況のインバウンド市場と、持続可能性への問い

近年、日本のインバウンド観光市場は目覚ましい回復と成長を見せています。政府も観光立国の実現に向け、様々な補助金・助成金制度を設け、多くの事業者がこれを活用して新たな取り組みに挑戦しています。当社、株式会社東京山側DMCも、東京都青梅市の御岳山における御師文化をテーマとしたハイキングツアー開発など、複数の補助金事業に携わってまいりました。このツアーは現在、当社のアドベンチャートラベル(AT)事業の柱の一つとなっています。

しかし、業界内では「補助金・助成金事業で、事業終了後も自走できるのは1割にも満たない」という厳しい指摘も聞かれます。残念ながら、補助金を運転資金の一部として依存してしまうケースも少なくないのが実情です。国策として予算が投じられる以上、事業には国益に資する側面も求められますが、同時に、一過性で終わらない「持続可能性」が真に問われています。

事業の転換点:探究型自然体験からアドベンチャートラベルへ

意外に思われるかもしれませんが、ほんの数年前まで、当社は観光業とは直接的な関わりを持っていませんでした。主力事業は、東京の中山間地域をフィールドとした、親子向けの「探究型自然体験学習スクール」でした。これは、地域の自然・文化・人的資源を独自の視点で再編集し、都市部の子供たちに本質的な学びの機会を提供するプログラムです。

転機となったのは、大手旅行会社様との出会いでした。「その地域資源の掘り起こしとプログラム造成のノウハウを、インバウンド向けのアドベンチャートラベルに活かせないか」—―この一言が、私たちの新たな挑戦の始まりでした。

当初は未知の領域であった観光業ですが、お話を伺ううちに、その認識は大きく変わりました。私たちが目指すのは、従来のマスツーリズムとは一線を画す、本物志向の旅行者(High-Sense Tourist)を対象とした、質の高い体験の提供であること。世界的に日本への関心が高まっていること。そして何より、それが地域経済の活性化に貢献しうること。これらの魅力に、私たちは強く惹きつけられました。

課題への挑戦:世界水準のガイド育成

事業構想を進める中で、大きな課題も見えてきました。急増するインバウンド旅行者に対し、彼らをアテンドできるガイド、特に世界の旅行会社が求める水準を満たすガイドが圧倒的に不足しているという現実です。地域の魅力を深く伝え、旅行者の期待を超える体験を提供するためには、質の高いガイドの存在が不可欠です。

この課題に対し、私たちは真正面から向き合うことを決意しました。2024年10月、これまでの教育事業のノウハウを活かし、世界水準のガイド育成を目的としたスクールを開校。そして2025年1月には、熱意ある第一期生を無事に送り出すことができました。これは、日本のAT市場の質の向上に貢献する、重要な一歩だと考えています。

実績と展開:各地でのAT事業開発

ガイド育成と並行し、観光庁、環境省、東京観光財団などの補助金も戦略的に活用しながら、具体的なATコンテンツ開発を進めてきました。御岳山のツアーに加え、長野県、北海道、埼玉県など、各地からお声がけをいただき、それぞれの地域資源を活かしたAT事業にも携わらせていただいております。

未来への展望:「本物」を届け、地域を元気づける

本年は、これまで造成してきた魅力的なコンテンツを、より多くの旅行者に届けるための販路拡大とプロモーションに注力します。同時に、各地域における観光事業者の皆様をサポートする事業も強化していく方針です。

では、数ある観光事業の中で、今後どのようなものが「生き残る」のでしょうか。私たちは、常に「本物」「本質」を追求し、行動する事業だと考えます。その取り組みは、地域にとって本当に価値があるか?持続可能な方法か? 常に自問自答を繰り返し、自然の摂理や地域文化への敬意を払い、「お天道様に恥じない」事業こそが、継続していくのではないでしょうか。

特に、私たちがターゲットとする「ハイセンスツーリスト」と呼ばれる人々は、単なる豪華さやぜいたくさではなく、表層的な観光では得られない、その土地の文化や自然の「核心」に触れる体験、すなわち「生きる本質」に触れるような旅を求めています。

「観光」という言葉は、元々「国の光を観る」という中国の古い言葉に由来すると言われます。異国の文化や優れた点(光)を観て学び、自国に持ち帰って役立てるという意味です。現代において、日本は世界から最も注目されるデスティネーションの一つです。今こそ、日本の持つ独自の文化、精神性、自然観といった「光」を世界に示し、体験してもらう絶好の機会です。日本の「和」の心が世界に広がれば、争いのない平和な世界へもつながる——私たちは、観光にはそれだけの力があると信じています。

共に未来を創るパートナーへ

私たちは、観光を通じて地域を元気づけ、その地域が持つ本質的な魅力を輝かせることに、本気で取り組んでいます。地域活性化、持続可能な観光、本物志向のインバウンド戦略にご関心のある自治体、企業の皆様、ぜひ一度お話ししませんか。私たちは、本気の想いに、本気で応えます。

連絡先: 株式会社東京山側DMC マチヅクリ事業部

担当:西川 Email: info@fwness.com

寄稿者 宮入正陽(みやいり・まさはる)㈱東京山側DMC代表取締役

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