12月14日、師走になると毎年注目を浴びる泉岳寺では、義士祭が執り行われる。ご存じのことと思うが、浅野内匠頭と赤穂浪士を祀っているからだ。京浜急行の始発駅でもある泉岳寺駅を降り、山手の方に進むとひっそりと佇む曹洞宗の寺院だ。赤穂浪士好きが訪れる古刹、普段は静寂の中にある。しかし、昨今、ここにも訪日外国人がやって来る。
江戸城「松の廊下」事件が起きたのは、1701年のこと。そして、ここに赤穂浪士たちが祀られる。しかし、度重なる火災の影響で、寺院は荒れ果てていた。また、関東大震災や太平洋戦争でも本堂が焼失する。今のように、再建されるのは1953年である。
このように、東京にも数多くの歴史を経た神社仏閣が存在する。しかし、京都のように有名観光地になっていない。そのため、ゆっくりと参拝できるのが東京都内の特徴と言える。入念に調べ上げて来日する欧米外国人とって、神社仏閣はキラーコンテンツと言われる。泉岳寺のような日本の歴史にふれる体験を、彼らは望んでいるのだ。ただ単に参拝するのではなく、昇殿参拝などの特別感を醸成すれば、新たな観光コンテンツづくりにもつながる。
新たな街も開かれた
さて、国道15号線の向こう側は現在進行形の街。JR東日本が開発する「TAKANAWA GATE CITY」だ。2020年3月に山手線30番目の駅が開業。そして、2025年3月27日に街がオープンした。衣食住が接近し、日本最初の鉄道ゆかりの高輪築堤の遺構もお披露目される。2026年春には、街全体のグランドオープンとなり完成となる。泉岳寺、高輪ゲートウェイ、そして、品川駅と近未来の都市計画は、もう少し先に実現することとなるだろう。楽しみな場所だ。
(2017.12.28.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長