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東京都の週休3日制が始動!都職員による旅行増加は見込めるのか?

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2025年4月から、東京都が職員向けに週休3日制を導入した。宇都宮市や千葉県でも週休3日制が導入されており、民間企業でも先んじて導入しているところがある。

もちろん、毎週3連休かどうかは職員の希望次第と思われるが、毎週の休みが3日あれば、観光業界としてはそれを活かした旅行やレジャーに期待したいところではないだろうか。祝日や連休がある月は、もともとの週休3日と合わせた長期の連休が発生する可能性もある。

今回は、東京都の週休3日制が観光業界へのプラスの影響につながるものなのかを考えていきたい。

減っている日本人宿泊客は週休3日で増える?

現在の日本の観光では、やはりインバウンドの存在感が大きい。

観光庁が公表した宿泊旅行統計調査の2025年1月のデータでは、延べ宿泊者数のうち外国人の割合は31%で、まだ日本人が約7割を占める。しかし、前年同月比は、外国人が34.8%増であるのに対し、日本人は2%減と、急増する外国人と微減の日本人の構図が明確になっている。

ここでもし、東京都の動きによって週休3日制導入が加速したなら、これまで以上に連休などで、あわよくば普段の週末にも、日本人の旅行客が増えるかもしれない…そんな希望を持ちたくなる。

しかし、現時点では、東京都を始めとした週休3日制が観光業に与える影響は限定的である可能性が高い。それは、東京都が週休3日制を導入する目的にある。

小池知事の演説からわかる導入目的とは?

東京都が週休3日制を導入するその目的、それは2024年12月の都議会開会の所信表明演説で小池百合子知事が述べた言葉からも明確に読み取れる。

週休3日制は、「世界から大きく立ち後れる女性活躍」の現状を打破するための具体策として導入すると、小池都知事は述べている。つまり、週休3日は、リフレッシュや趣味を充実させるためというよりも、子育てと仕事の両立のための手段なのである。

東京都の週休3日制の内容も、貰う給料を変えずに週休3日とするために、1日の労働時間を8時間から10時間に延ばし、休日が増えても労働時間は変わらないようにしている。旅行が目的ならば、旅行のタイミングだけ有給休暇を取得するほうが現実的だ。

では、子どもがもっと成長し、手がかかりにくくなったなら、週休3日制も旅行に使われるのかといえば、それも難しいだろう。就学すれば子どもの学校は週休2日であるので、むしろ親も週休2日に戻すかもしれない。

子育てと仕事の両立の目的からスタートした週休3日制がどんどん普及して一般的になったなら、旅行に出かける人もいそうであるし、わざわざ休日の過ごし方まで限定する制度ではないだろう。しかし、都知事自ら「徹底した両立支援」と銘打つ中で導入される週休3日制の当初から旅行に活用してしまっては、上司や同僚の理解は得られないかもしれない。

子育て世代ターゲットのプランならあるいは

だからといって、週休3日制がまったく観光につながらないかというと、そうではないだろう。確かに導入目的は子育てと仕事の両立だが、頻度はさておき、子育て家庭にも旅行のニーズはある。

週休3日制によって普段の休日にゆとりがあるならば、小さい子どもを連れての旅行もオフシーズンなどを選びやすくなって、週休2日よりも出かけやすいかもしれない。

東京都が導入したばかりで、選考する大企業などを含めても週休3日制の働き手はほんの僅かであるため、正直、観光業界が積極的に週休3日制の人を対象とした企画を考える段階ではないだろう。しかし今後、週休3日制が普及する場合、選択する人の多くが子育て世代である可能性は極めて高い。

そうでなくとも、子育てに関する支援はますます手厚いものとなることが予測される。もしも、観光業界が週休3日制を想定したサービスを今後企画するのであれば、子育て世代にスポットを当てる必要があるだろう。

寄稿者 中島康恵(なかじま・やすよし)㈱シニアジョブ代表取締役

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