何十年ぶりの皆既日食が、東京で観測できるとテレビニュースが大々的に伝えていた。当日の天気予報は曇り。そのため、世の中の期待感は半分以下であった。しかし、雲の切れ間から一瞬、黄金のリングが見えた。そして、気温が急下降するのを体感し身震いを感じた。
2012年5月21日のことだ。
昨今、日食や月食、初日の出などを飛行機の中から鑑賞するツアーが人気を博している。天候リスクはあるが、天体ショーは鉄板の観光コンテンツだ。そのベストポジションが飛行機なのだ。販売を開始するとすぐに売り切れとなる。あらゆるモノ・コトが観光商品となる時代となった。
これまでの観光は、「物見遊山」と言われるように、足早に体感するものがほとんどであった。それ故、旅先で知識の泉を深めることや未体験の事象に触れること、食の奥義に舌鼓を打つことなどは、見向きもされなかった。しかし、これからは、ホンモノ志向の旅を「あるく」「みる」「きく」という素材に触れるモノ・コトがメインターゲットとなってくる。
どんどんと旅行の裾野は、広がっている。日々精進し、新たな切り口の商品造成が必要な時代が到来しているのだ。楽しみは、倍加する。
(2012.05.21.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長