航空機に搭乗する際、安全検査を受ける。その理由は、危険物などの持込禁止品があるからだ。そのため、ゲートをくぐる際に、誰もが止めらえた経験があるだろう。それだけ、空港は安全を常に保っているのだ。
ハンドレッド・リンクスのメンバーでもある伊豆芳人さんにお誘いを受け、「ボーダーツーリズム協議会」の総会後のエクスカーション「羽田空港制限エリア内バスツアー」に参加させていただいた。
ボーダーツーリズム協議会HP https://www.border-tourism.com/
普段は入ることのできない特別なエリアである空港内には、格納庫や燃料タンク、航空貨物のターミナルなどがある。また、空港内の消防庁舎や管制塔も間近に位置する。そのような特別なものに触れるツアーである。

その面積は、所在する東京都大田区の四分の一の大きさ(1,516ha)である。渋谷区とほぼ同じらしい。一日平均21.5万人の旅客が利用し、1,200便以上の航空機が発着する。(2023年実績)
また、国内50空港、海外25か国47都市と結ばれている。まさに、日本の空を代表する玄関口だ。
羽田空港の非日常に触れる
さて、当日は、第1ターミナルの地下1階に集合。地上階まで移動した後、専用のリムジンバスに乗車。ほどなく、制限エリア内に入るために安全検査が行われる。各自、持ち物と身体検査を受け本人確認。すべての参加者がクリアして入港が認められる。まさしく、ボーダーツーリズムだ。
かつて、成田空港が開港し、団体バスで向かった時にも、このような経験をした覚えがある。

ここから、約90分のバスツアーが始まる。参加者の安全と航空機の安全運航のために、バスから降車することや乗車中の窓の開閉、指定された場所以外の撮影は禁止されている。
空港は、航空機の発着が第一優先される。そのため、港内を走る自動車などが滑走路を通過するトンネルも掘られている。最長のものは、約2kmの長さだ。
まず最初に格納庫を通過する。その中では、整備中の航空機が駐機されている。また、燃料タンク付近に進むと、備蓄燃料は、航空機が利用する約1週間分と説明があった。その後、ターミナルビルを取り巻くルートを進む。羽田空港は、時折、バスで駐機スポットから出発する場合がある。今回のツアーはそれよりも長い時間、ターミナル周辺を移動し、間近に航空機が発着する姿を見る。燃料を注入している機材や荷物を胴体に収めているものも多数見受けられる。
空の港に浮かぶ舟のように
また、今回のツアーでは、特別に誘導灯のそばまで移動して、着陸する航空機を体感した。この日は、風が強かったので、着陸態勢の航空機は、機体を少し斜めにして近づいてくる。そして、直前で機体を真っすぐに戻して着陸するのだ。スムーズな着陸テクニックらしい。また、真上に通過する際は、爆音が響いてくる。まさしく、このツアーのハイライトである。

普段より低い目線で見る景色は、空港という海原に浮かぶ舟からの姿にも感じる。昨今、羽田空港の誘導灯付近を洋上から見上げる舟旅が流行っている。まさしく、船舶と飛行機の共通点を感じ入る。
あっという間の90分間は過ぎていった。そして、最後は第1ターミナルの2階・出発ロビーに到着。夢のような時間は終わりを告げた。
(取材・撮影 2025年5月23日)
(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8
取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長