先日、歌手の橋幸夫さんが認知症の発症を公表されて、大きな話題を呼んでいます。認知症が社会の中で「認知」されやすくなり、認知症の人の存在が社会で受け入れられ始めています。
最近はあまり聞かなくなっているのですが、認知症の発症が始まった人に対し、周囲が過剰なまでに行動の制限を掛けることがあります。これまで培ってきた経験を生かし、できることが可能な限り続くように支援するが、認知症ケアの大前提です。もちろん、意志ある人々をがんじがらめにするのはタブー中のタブーです。
身近な人を支援する認知症ケアと並んで欠かせないのは、独りで目的が決まらないままに、自分の意に反して街中まで外出している認知症の人へのケアでしょう。この記事を読む方の多くは、一見するとその人が認知症なのか、本当にすぐには分かりづらいと思います。また、介護サービスの職員であっても、最初その人に話しかけただけでは、その人が認知症なのかはすぐには分かりません。
そんな時に私がお勧めしているのは「一人だけでは認知症の人には対応しない」ということです。単独ではなく、二人や三人で「チーム」として対応するメリットは、たとえ家族や関係者のうち一人がお話を伺って探し、もう一人が警察や消防に通報するなど、手分けができるのは大きいです。
認知症の方の行動が問題化するのは、その方の不安が解消できていないことが理由の大多数として挙げられます。冒頭に挙げた橋幸夫さんの所属事務所は、正に橋さんの不安を解消するために「チーム」でケアに当たっています。
寄稿者 猪股透人(いのまた・はやと)シーキューブ㈱ https://c-cube.life/