サクラからツツジへ、そして今はアジサイが見頃を迎えている。サクラに雨は困るけど、アジサイ見るには雨の中でもよさそうだ。まずは、6月いっぱいアジサイ祭が行われている高幡不動尊(日野市)へ。(写真は妙法寺)
山内八十八カ所とアジサイ巡り
京王線高幡不動駅到着前の車内案内はそっけなかった。多摩動物園線と多摩モノレールの乗り換え案内だけで、駅名にもなっている駅歩3分の高幡不動でアジサイ祭が開かれていることにはまったく触れなかった。仲でも悪いのか。

「関東三大不動、真言宗高幡不動尊金剛寺では、現在、アジサイ祭を開催しています。お時間があれば、途中下車もしくはご用の後のお帰りの際にでも、アジサイをお楽しみください」。このくらいアナウンスがあってもいい。「地域社会とともに」がモットーのはずじゃないのか京王電鉄。
駅前から参道を歩くと、すぐ目の前が高幡不動尊だった。国宝とある看板の奥に朱色の五重塔が立っていた。写真で狙うのは、アジサイと五重の塔が一緒に写った1枚。ただ、そんなにアジサイは見当たらない。
着いたのが午後1時ごろで本堂に近づくと、読経や太鼓の音が聞こえ、ちょうど護摩焚きの最中だった。炎の前に座る紫色の袈裟を来た高僧が参拝者から預かったお札を1枚1枚火にくぐらせていた。複数の僧侶の読経の声、鉦や太鼓の音、揺らぎ続ける炎が、なにかしらありがたさを足していた。

寺は丘陵の麓にあって、山内八十八ヶ所巡拝路が山の中へ続いていて、第一番から石仏をたどることにした。ところどころにアジサイは咲いているけど、密度は薄く豪華な感じはなかった。八十八カ所巡るのにどのくらい時間がかかるのかと思いながら歩き始めたけど、二番、三番と石仏は10メートルほどの間隔で現れた。
適度な上りと下り、それほど広くない山内に、ほぼ一筆書きの順路で石仏を上手に置いたものだ。途中に高幡城址があって、平安時代に開かれた高幡不動尊と室町時代に築かれた山城は、どんな風に共存していたんだろう。
山内に初めてみる白いアジサイがあった。スマホで画像検索するとカシワバアジサイとあった。花全体が丸くなくて縦長の面白いアジサイだった。

斜面の道を八十七番まで巡ったあと、八十八番目は真言宗の開祖、空海を祀った大師堂だった。五重塔にも近く、いい写真が撮れないか、暫く回りをうろついた。
山門あたりまで戻ると池の奥の弁天堂に気づいてお参りした。弁天堂に気づくと、お参りすることにしている。女神、弁財天には、だいたいいつも同じお願いをしている。
門前の食堂の看板を見るとウナギとソバが名物のようだった。そばは開運そばというのが、このあたりの呼び方らしい。そば屋のメニューに稚鮎の天ぷらがあって、今まで食べたことがなかった。ビールと注文した。
稚鮎の天ぷらがおいしくて、これならと冷酒と天ざるそばを頼んだ。稲穂の天ぷらもついていた。白い米の部分だけ食べるそうだ。そばも天ぷらもおいしかった。
〇アクセス 家から徒歩、電車で約1時間
〇滞在時間 そば屋を含めて約3時間
アジサイロードからビオトープ、熊野神社へ
帰りに途中下車して新宿中央公園(新宿区)に寄った。「新宿 アジサイ」で検索すると一番上に出てくる。園内にアジサイロードがあるそうだ。ここではアジサイと都庁ビルを一緒に写真に収めたい。

滝の広場の後ろあたり、コンクリートの歩道を挟んでアジサイがたくさん植栽されていた。なかなか密度が濃い。けっこう広い公園で、アジサイはこのあたりにだけ、集中して植栽されていた。
小雨だったから、ベンチで暫くアジサイを眺めてとはいかなかったけど、きっと、平日のランチ時はアジサイのそばで弁当を広げる人がたくさんいるんだろう。公園を通り抜ける人は少しいたけど、アジサイにスマホを向ける人はいなかった。

せっかくだからと公園内を歩いていると、ビオトープの案内板があった。金網で囲まれた幅10メートル、長さ30メートルほどの区画がビオトープだった。小さな池があって、カエルでもいないか眺めたけど、なにも見つけられなかった。ビオトープを出ると、熊野神社の境内に出た。
新宿の総鎮守だそう。創建は室町時代で、付近には湧水の池や滝があって江戸期以降、景勝地としてとても賑わった。池は昭和初期から宅地として埋め立てられた。
〇アクセス 家から徒歩、電車で20分
〇滞在時間 約30分
準備不足で再訪しなきゃ、花菖蒲を囲むアジサイ
3カ所目は雨が上がった翌日に行った高円寺の妙法寺(杉並区)。高円寺という寺もあるけれど、この場合は地名としての高円寺。山門から本堂へ、アジサイはない。本堂の裏に回ると、像の回りに少しアジサイがあった。

庭仕事の人に尋ねると裏の門を出た先に咲いている。裏門の狭い参道脇にアジサイが並んで咲いていて、これだけじゃ物足りない。そのまま歩くと駐車場と墓地の脇に集中して植栽されていた。
見どころは花菖蒲を囲むようなアジサイの植栽。ここでは、アジサイと花菖蒲を1枚に収めたい。花菖蒲を囲みアジサイが一周50メートルほど植えられている。光の差し込む方向を見ながら一周して写真を撮った。同じようにアジサイの回りを一周しながら、女性がスマホを向けていた。

交通量の多い環七から数十メートル入ったこところに、こんな場所があった。車で往来していたころは、ただ、近くを通り過ぎていた。3年ほど前に車がなくなってからは、行き先は同じでも違う道を歩き、違う景色を見るようになった。
今、寺いついてのウェブサイトを見ていたら境内にジョサイア・コンドル設計の鉄門、墓地には有吉佐和子の記念碑が立っているそう。有吉佐和子のファンなのに残念。下準備が足りず、現場ではアジサイばかり探していて、鉄門にも目がいかなかった。
〇アクセス 家から自転車で25分
〇滞在時間 25分