認知症の方とどんどん外出されてはいかがでしょうか。確かに、ときどき行方不明になることがあります。かつては「徘徊」(はいかい)などと呼ばれ、問題行動とされることが多い時期もありました。認知症の方が行方不明になるのを恐れ、外出を控える必要はありません。
ここ数年で認知症の方が過ごしてきた生活圏での外出は、ほとんど記憶に残っていないため、外出しても楽しめないことの方が多いようです。特に介護施設に入居した後だと、そもそも自分が介護施設に入居していることが理解できていない認知症の方が多く、結果として介護施設から行方不明になる理由として、自身がいる場所に違和感を感じたことが理由のようです。
できるなら、その方が一番活躍されていた時期に生活していた場所へ足を運ぶ良いようです。数日掛かりで足を運ぶ必要がある場所や、地方への外出は体力的にも厳しいかもしれませんが、車で日帰りできる範囲に行ける場所なら、気分転換を兼ねて外出されてはいかがでしょうか。直近の生活で生じていた心理的な混乱が緩和される、格好の時間になり得ます。記憶にも残って入り場所なので、付き添う人が心配するような行方不明もなかったりします。もっとも今はGPSなど所在確認の機器の精度も格段に向上しています。
それは「回想法」と呼ばれる、認知症の方に対する心理的なアプローチです。結果、認知症の進行の緩和にも期待できます。加えて言うなら、好んだ食事や音楽、植物なども一緒にあれば、家族そろって楽しめる良い時間になりそうです。思い出す力を維持することが、認知症進行予防の「特効薬」になります。
最後に、今年も猛暑が始まり、暑さが続いています。水分補給を忘れずに取りましょう!
寄稿者 猪股透人(いのまた・はやと)シーキューブ㈱ https://c-cube.life/