阪急交通社と契約関係を持つ観光(1441施設)や宿泊(2825施設)、船車(1472施設)で構成する団体「阪急交通社国内旅行推進協力会」(村木營介会長、矢太樓、5738施設)は7月7日、東京都品川区の品川プリンスホテルで役員総会を開いた。会場には役員125人が出席。阪急交通社からは、2025年度の国内旅行における企画旅行が年間220万人、手配旅行が25万人を集客目標として目指す方針が示された。両者の連携による国内旅行市場のさらなる活性化、急増する訪日旅行需要の獲得に向けて意見交換が行われた。
冒頭あいさつした村木会長は、会員数が前年から137社増え、5700社を超えたことを報告。また、旅行需要が堅調に推移している一方で、ゼロゼロ融資利用後の倒産について言及。「5年間に収益が回復していない施設はたくさんある。特に宿泊施設やキャリアなどは、在庫が効かない商売であり、過去に切ったものは取り戻せずに尾を引いている」と訴えた。阪急交通社との連携については、「国内旅行を、もっともっと活性化し、インバウンドも一緒になり、地方にも来てもらえるような仕掛けを作っていきたい」と強調した。

阪急交通社からは酒井淳社長があいさつ。コロナ禍以降の成果に触れ、「今年度も上期も全方面において早めに商品計画を進め、商品造成、販売と順調に推移し、計画通りのスタートが切れている」と強調した。募集型だけでない新たな組織体制についても触れ、「今年は学校教育を扱う教育旅行営業部を新設し、順調に受注を獲得し、一般団体に続いている。訪日旅行もコロナ禍前の倍以上の数字が出ている」と堅調さをアピールした。来年に向けては、大阪・関西万博のような大きな目玉イベントはない中、商品づくりへの注力、地域との連携を深めながら、グループ旅行でナンバーワンを目指す。

総会後に開かれた懇親会では、松田誠司会長が2024年度を振り返り、コロナ関連の仕事がなくなるも、募集型、法人とも堅調に着地し、25年度の上期の好調であることを報告。コロナ禍後の変化について、「大きく変わったのは売値。集客人数も以前は1カ月で30万人あったが、今は20万人となるも、4日間の旅行がコロナ禍前の6、7万円から10~12万円となり、トータルとして大きく上がっている」と話した。法人旅行については、「教育旅行は全国の中高約220校を扱い、30年には300校まで届く勢いだ」とさらなる飛躍を約束した。訪日旅行についても言及し、「ヨーロッパが扱いの8割を占めるが、24年度は3万人、25年度は4万人ぐらいを予測している。宿泊、旅行単価も高く、伸ばしていきたい」と述べた。

来賓としてあいさつした、観光庁観光産業課の貴田晋旅行業務適正化指導室長が、2024年において訪日外国人旅行客が過去最高の3686万人、同旅行消費額が過去最高の8.1兆円、日本人の国内旅行消費額が過去最高の25兆円となるなど、観光関係者の協力があってこその成果であることを強調するとともに、謝意を示した。今後に向けては、「人手不足など、観光人材の確保と育成に取り組む体制を強化するため、観光庁では7月1日付で『参事官(旅行振興)』を新設した。今後は、地方を中心としたインバウンド、持続可能な観光地域づくり、国内交流の拡大の3つの分野を取り組みを強力に推進していく。そのためには、交通、宿泊、食事の確保が不可欠であり、皆さまとは今まで以上に連携していきたい」と呼びかけた。
取材 ツーリズムメディアサービス編集部