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奈良県宇陀市・和歌山県那智勝浦町で「OLYMPIC Trials 2025」開催、前日には岸田前首相を表敬訪問

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カンボジアの小学生と地元の小学生がオリンピック選手に学ぶ3日間

全国420以上の地方自治体を支援する公民連携推進機構と奈良県宇陀市、和歌山県那智勝浦町は7月23~25日、宇陀市・那智勝浦町・カンボジア国際交流事業としてスポーツを通じた国際交流企画「OLYMPIC Trials 2025」(外務省後援)を開く。CIESFがカンボジアでの教育支援活動として運営している幼・小・中一貫校「CIESF Leaders Academy(シーセフ・リーダーズ・アカデミー)」(以下、CLA)の第1期入学生である日本式の教育を受けたカンボジア人小学生10人を日本に招へいするほか、日本代表アスリートが国際貢献として事業に参加。また、前日には衆議院議員第一議員会館に岸田文雄前首相を表敬訪問した。CLAの小学生らがトップアスリートと共に海辺の安全教育とビーチスポーツ交流を行いながら、国際交流を深め、異文化への理解と国際的な課題解決に目を向けるきっかけを作る。

前日に行われた表敬訪問の様子(中央は岸田前首相)

トップアスリートらと共に海辺の安全教育とビーチスポーツ交流

「OLYMPIC Trials 2025」の会場となる宇陀市と那智勝浦町は「日本建国象徴の地」として、太古からつながりがある。初代天皇「神武天皇」は、現在の宮崎県から、船で那智勝浦町に上陸し、八咫烏(やたがらす)に導かれ宇陀市での戦いに勝利し大和平定を成し遂げ、日本建国を宣言したと古事記・日本書紀に記されている。このような日本を象徴する地域で、異なる地域の子供たちが「スポーツ」を通じて交流することで、相互理解や友情を深める機会とする。

「OLYMPIC Trials 2025」には、CLAの小学生10人のほか、宇陀市の小学生10人、那智勝浦町の小学生10人、宇陀市民対象水泳教室から30人、那智勝浦町民対象ビーチスポーツ教室から30人が参加。オリンピックなど国際大会で活躍した寺川綾さん、千葉すずさん、佐伯美香さん、遊佐雅美さん、石島雄介さんを指導者として招き「海辺の安全教室/ビーチスポーツ」や水泳教室を行うほか、最先端ARスポーツHADO体験会、プロに学ぶTIKTOK教室、勝浦漁港での日本一の「生まぐろ」競り見学などが行われる。

表敬訪問:岸田前首相「機会を糧に国際的に活躍できる人材となることを期待」

前日となる7月22日には、CLAの小学生らがプログラム実施に先立ち、カンボジアと日本の友好に尽力した第100代・第101代内閣総理大臣の岸田文雄氏を表敬訪問した。小学生らは、岸田前首相に日本語で歌を披露したり、意見交換など交流を行った。

岸田前首相は、両国の関係性について「私が外務大臣時代から幾度となくカンボジアを訪問してきた。2023年に日本とカンボジアが外交関係を樹立してから70周年を迎えた節目の年には、日本国の総理大臣としてカンボジアを訪問し、当時のフン・セン首相と両国関係のさらなる緊密化を確認した」と紹介。今回の取り組みについては「日本を代表するアスリートの皆さんから水泳やビーチスポーツの指導を受けると聞くが、両国の小学生をはじめ参加者にとって非常に貴重な経験となる。この機会に水泳の楽しさや海の安全に関する知識をしっかり学んでいただき、日本の子どもたちとの交流を深め、たくさんの思い出を作ってほしい」と語り、将来は日本とカンボジアの架け橋として、さまざまな分野で活躍する人材となることを期待した。

カンボジアの小学生に呼び掛ける岸田前首相

CIESFの大久保秀夫理事長は「われわれはカンボジアにおける持続可能な教育体制の構築を目指し、日本から70名以上の教員を派遣し、8,000人以上の生徒を育ててきた。現地に赴く日本人教員が『日本の教育のファン』として、子どもたちに直接教えることで、日本に親しみを持ってもらえるという、相互理解の促進にもつながっている。9年前には、カンボジア初の幼稚園・小学校・中学校の一貫モデル校を設立し、この秋にその最初の中学校卒業生たちが節目を迎えるにあたり、日本とのさらなる交流を目的に、今回の来日が実現した。取り組みを通じて、国際協力の新たな可能性を切り拓いてほしい」と願った。

在日本国カンボジア大使のトゥイ・リー大使は「このたびの訪問は、私たちの学生が日本で研究や交流を行う貴重な機会となる。この取り組みは、カンボジアのフン・マネット首相が最優先課題と位置付ける『人材育成と教育開発』の方針にも深く関係しており、日本との友好関係の強化にもつながるものと確信しております。また、2023年に岸田首相が在任中に両国間で確認された『包括的戦略的パートナーシップ』の重要性についても、改めて強調させていただきたい。5月28日から31日にかけてフン・マネット首相が日本を公式訪問した際にも、両国の友好関係をさらに強化・拡大する意志が改めて確認された。今回、カンボジアの学生が日本を訪問できたことを、心からうれしく思っている」と取り組みに謝意を示した。

地元から代表して参加した和歌山県選挙区選出の鶴保庸介参議院議員は「今回のような交流が、今後ますます発展していくことを心から期待している。日本がこれからの時代を生きていく中で、次世代の皆さんが築く国際的な絆は、非常に大きな意味を持つものだと確信するとともに、未来の国際社会における日本のあり方を形づくる礎になると信じている。このような意義ある取り組みを国政の場でも後押ししていく。加えて、観光振興にも携わっている立場からも、人的交流を通じた相互理解の深化に向けて力を尽くす」と持続した支援を語った。また、奈良県第3選挙区の田野瀬太道衆議院議員も今後の活動が継続して行われるように尽力することを約束した。

宇陀市の金剛一智市長は「教育は地域活性化の根幹である。現在はエストニアとの教育交流や、地方においても格差なく学べるデジタル教育の推進に取り組んでいる。今回の企画で開催される水泳教室を通じて、カンボジアの子どもたちに宇陀市を楽しみ、学んでいただけることはとてもうれしい。地域同士の交流だけでなく、国際的なつながりも深まることを願っている」、那智勝浦町の堀順一郎町長は「那智勝浦町では現在、世界に開かれた町をビジョンに掲げた総合計画を策定中です。今回、カンボジアの子どもたちと、那智勝浦町および宇陀市の子どもたちが交流する機会を持てることは、その第一歩として非常に意義深く、取り組みには全力で対応していく」と述べた。

公民連携推進機構の高瀬亜富代表理事は「多くの関係者の支援と協力で実現した。われわれは、民間の力と公的機関、特に地方自治体の力を結びつけ、日本全体を元気にしていくことを使命とする団体だ。自治体が抱える課題や、民間が持つエネルギーを結集させ、日本国内の課題解決を図るだけでなく、それが国際的な連携・広がりへとつながる可能性を強く感じている。このような国際協力の取り組みが今後さらに発展していくことを願っている」とさらに取り組みが拡大することを期待した。

アスリート、指導者を代表して日本ビーチ文化振興協会の遊佐雅美理事は「私は18歳から32年間、ライフセーバーとして水辺の安全に取り組んできた。現在は新潟県柏崎市を拠点に活動し、水辺事故ゼロを目指している。水辺では多くの命が失われており、自分の命を守るウォーターセーフティの意識が大切。カンボジアの子どもたちに紙芝居などを通じて海の安全と魅力を伝え、日本の海を楽しんでもらいたい」と話し、交流を通じて海の素晴らしさや文化を次世代に伝えることの大切さを呼び掛けた。

日本ビーチ文化振興協会の前理事長でもある朝日健太郎参議院議員は「私もこのプロジェクトに強く共感する一人。本事業は、自治体と民間、そして海外の子どもたちが、スポーツを通じて共通の目標に向かって進んでいく、非常に価値ある取り組みだ。子どもたちには、水に親しむことを通じて、ただ泳ぐ技術だけでなく、体験から学ぶ生きる力を身に付けてもらいたい。短期間の滞在とはいえ、笑顔に満ちた、思い出深い交流になることを期待している」と話した。

このほか、CLAの小学生や受け入れ地域が岸田前首相に地域の特産品などを渡したり、記念撮影を行ったりした。

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

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