岐阜県郡上市の夏を彩る伝統行事「郡上おどり」が、7月12日から9月6日までの約2カ月間にわたり市街地各所で開かれている。全国でも類を見ない30夜以上にわたる長期間の盆踊りで、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。
なかでも注目を集めるのは、8月13日から16日までの「徹夜踊り」。本町通りや新町通りなどの会場では、夜8時頃から翌朝まで踊りの輪が続き、観光客も自由に加わることができる。伝統曲「かわさき」や「春駒」など全10曲が生唄・生演奏で披露され、国内外からの参加者による盆踊りの輪が広がる。
踊り手の中には、踊りの技量を認められることを目指す参加者も多い。毎晩10時頃に提示される課題曲に合わせて踊り、郡上おどり保存会の審査に合格すれば「免許皆伝札」が授与される。その札と引き換えに正式な「免許状」が贈られる。
また、郡上市白鳥(しろとり)町では同時期に「白鳥おどり」が開かれている。テンポの速さと軽快なステップで「世界最速の盆踊り」と称され、若者を中心にSNS上でも注目を集めている。中でも人気の曲「世栄」は、踊るごとにテンポが速くなり、その疾走感が観客を魅了する。
400年にわたり受け継がれてきた郡上の盆踊り。夏の夜、郡上の町は踊ることで一つになる。