リクルートのじゃらんリサーチセンター(JRC)は7月29日、「観光振興セミナー2025 関東・甲信越Meeting」を東京都千代田区の本社で開いた。関東地域から自治体や団体など観光関係者が来場。「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」「地図で読み解くインバウンド地方分散研究」から最新の調査データを披露するほか、JRC研究員が国内や訪日観光トレンドに基づく具体的な戦略提案を行った。
冒頭、同社旅行Division Vice President の大野雅矢氏があいさつ。観光需要が回復基調にある一方で、人材確保やデータ活用、地域の持続可能性など、現場が直面する課題が多岐にわたり、複雑化している現状に触れた。大野氏は「求められているのは、地域の未来を見据えた新たな視点と戦略だ」と語り、現場の取り組みに戦略的視点が不可欠であることを強調した。

来賓としてあいさつした観光庁の河田敦弥総務課長(前観光戦略課長)は、7月の参議院選挙における外国人政策の議論に触れながら、「観光政策は政権の意向にかかわらず、一貫して前に進んでいる」と強調。観光産業を支える基盤として、インバウンドと国内観光の両立が必要であることを訴えた。また、現在は来年3月に向けて新たな観光計画の策定作業に入り、各種予算や支援策の準備が進んでいることを報告した。

セミナーの第1部では、JRCの研究員らによるプレゼンテーションが行われた。沢登次彦センター長氏が観光業を取り巻く2040年の未来予測を解説するほか、森戸香奈子主席研究員が「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」から読み解く国内旅行の最新トレンドを報告。2024年に国内宿泊旅行を実施した人が前年度比0.2㌽減の49.3%、年間平均旅行回数が前年同等の2.76回、都道府県別の延べ宿泊旅行者数が1154万人と東京が最多、大人1回当たりの平均旅行費用が前年から3500円増の6万4100円だったことなどを明らかにした。
このほか、松本百加里研究員が「地方分散研究2025」を読み解きながら、インバウンドがどのような周遊ルートをたどっているかを説明した。
第2部の「地域戦略推進のためのQ&Aセッション」は、「気候変動・環境保全」「人材不足・人材育成」「観光DX」「宿泊税・観光財源」「地域・住民との連携」の5つのキーワードに議論。第1部の登壇者のほか、リクルート旅行Division地域創造部の高橋祐司部長を交えて登壇し、参加者からの質問に答えた。
地域Meetingは、関東・甲信越以外で東海、関西・北陸、沖縄、北海道、東北、中国・四国、九州で開かれている。関東・甲信越は2回目を9月1日に行う。
取材 ツーリズムメディアサービス編集部