バス運転手専門の求人サイト『バスドライバーnavi(どらなび)』を運営しております、リッツMC株式会社 代表取締役社長の中嶋と申します。一般社団法人女性バス運転手協会の代表理事も兼務しております。これから隔月にて連載をさせていただきますので、よろしくお願い致します。
当社は、バス業界に特化した求人を専門に取り扱っている会社です。バス運転手専門の求人サイト(「バスドライバーnavi(どらなび)」)、バス運転手専門の合同就職説明会(「どらなびEXPO」)及びバス運転手の人材紹介などを通して、全国のバス事業者様の採用のお手伝いをさせていただいております。この事業を始めて丸8年になりますが、もともと、全国的、慢性的にバス運転手が不足しており、それを解消するために、このようなサービスを始めました。その頃はどのバス事業者様も「喉から手が出るほどバス運転手がほしい」、「とにかくバス運転手が不足している」ということでお問い合わせが相次ぎました。今までどう募集をかければ良いか分からなかった事業者様から、是非掲載したい、是非イベントに参画したいというたくさんのご用命をいただくようになり、求人掲載数は右肩上がりに増えてきました。
3年前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、コロナ)の拡大があり、バスの運転手の求人数は急激に減りました。「stay home」が奨励され、人々が外出しなくなり、それに伴い公共交通であるバスを利用しなくなりました。また、日本人観光客はもちろん、訪日観光客(インバウンド)が来日しなくなった影響で観光地は閑古鳥が鳴くようになりました。路線バスも、高速バスも、観光バスも、送迎バスも、リムジンバスも減便や廃便を余儀なくされました。バス運転手は勤務日数が減少したり、自宅待機したりしつつ3年を過ごしました。バス会社様はバス運転手の離職を避けるため、あらゆる努力をされていましたが、経済的事情等で退職した運転手さんも少なからずいらっしゃいました。このような事情から、バス運転手の求人掲載数は最も少ない時でコロナ感染拡大前の3割程度まで減少しました。
その後、昨年秋ぐらいから、また採用を再開したいという事業者様からのご連絡をたくさんいただくようになりました。バス会社様によりご事情は異なるのですが、例えば、高速バスや観光バスが稼働していない間、その運転手を元々人員不足だった路線バスの応援に回していたが、コロナが明けて高速・観光バスが稼働し始めたので元に戻した結果、再び路線バスの運転手が不足し始めたり、コロナ禍にバス運転手の退職者が出てしまっていたが仕事自体も減っていたので補充採用をせずにいたところ、需要が戻り、バスが平常運転となったが欠員は急には採用できないので困ったりしているという状況が多く見られました。
2023年が明けてからは、更に加速して求人掲載数は伸びてきております。当社ではバス運転手専門の合同就職説明会「どらなびEXPO」を、年に5回、春と秋に東京、大阪、名古屋の3会場で開催しております。昨年秋の東京会場のバス事業者様の出展ブース数は22ブースでしたが、今年の春は約40ブースということで、半年前に比べて倍のバス事業者様が採用を再開しているということが言えるかと思います。一方、働き手の方は、バス業界だけではなく日本全体が深刻な労働力・人材不足に見舞われている他、応募者数の激減や高齢化が見られます。このような厳しい状況の中、バス業界としては、バス運転手不足を1日でも早く解消し、バスを安定稼働させることで、地域の足を維持する・これからますます盛り上がっていくであろう日本の観光需要に対応していくことが重要です。