マレーシアのペナン州から観光ミッション団が来日し、このほど都内でセミナー&ワークショップを開催した。来日したペナン州観光創造経済担当大臣のウォン・ホン・ワイ氏は、今年1月から7月の日本人観光客数が前年比25%増になったことに触れ、「着実な増加はペナンが日本人旅行者にとって強い魅力を持つことを明確に示している」と強調。本紙の取材に応え、日本市場に対し、ファミリー層を中心とした観光とロングステイの両面で誘客を進める方針を示した。
日本/ペナン間は直航便が未就航だが、同氏によれば2024年にペナン国際空港を利用した日本人旅客数(クアラルンプール経由を除く)は前年比14.7%増の1万5243人で、トップ10に入る規模だ。同氏は訪問者の多くはバンコクやシンガポール、台湾や香港などを経由して訪問している旨を説明し、バンコク線は週28便、シンガポール線は週83便運航しているなど、アクセスの利便性を強調した。
また、ウォン氏はペナンを「伝統と革新が融合する場所」と説明し、ユネスコ世界文化遺産のジョージタウンや、ユネスコの生物圏保存地域に指定されたペナンヒルを紹介。都市文化と自然に加え、「休日を過ごすための目的地としてだけでなく、医療ツーリズムやロングステイなど、さまざまなニーズに対応している」と訴えた。
同氏はファミリー層にはギネス認定のウォータースライダーなどを備えるアウトドア型テーマパーク「エスケープ」や、約1万5000匹の蝶が飛び交い、世界初の「生物蛍光ガーデン」がある「エントピア by ペナンバタフライファーム」を提案した。一方でロングステイについては、ペナンには東レやルネサスエレクトロニクスをはじめ、製造業や電子・半導体産業など多くの企業が進出しており、約3000人もの日本人がペナンに居住・長期滞在していることを紹介。日本人学校や100軒以上の日本食レストランがあり、病院や医療設備も充実しており、日本国外最大級の盆踊り大会「ペナン盆踊り」など、日本文化イベントを開催しているなど、過ごしやすさをアピールした。
新キャンペーン「まだ知らないペナン」を実施、投資の現状も報告
セミナーではペナン・グローバル・ツーリズムCEOのオイ・チョク・ヤン氏が、ペナン州の今年の新しいキャンペーン「まだ知らないペナン」にちなんだプレゼンテーションを実施した。新キャンペーンでは、これまで知られていなかった観光地や、医療・教育、ウェディング、クルーズといったニッチな市場を訴求するとともに、投資先としての魅力も発信していく。なお、今回初めて日本語版のPR動画を作成し、セミナー会場でお披露目した。
プレゼンテーションでは、オイ氏がユネスコ無形文化遺産に女性の伝統衣服「ケバヤ」と「マレーシアの朝食文化」が登録されたことを紹介。「ジョージタウンでケバヤを着て写真を撮り、朝食を食べ、自然保護区のツアーを体験すると、1日でペナンの『ユネスコ』が楽しめる」とアピールした。
さらに、同氏はペナンで進む大型開発案件についても紹介した。インフラ関連では、鉄道の新路線開設に向けた「ペナンLRTプロジェクト」が進んでおり、先ごろ工事がスタートしたところ。全長約30kmに21駅を配置し、2031年の開通をめざす。
ペナン国際空港も2025年から拡張工事が始まり、3、4年かけて新ターミナルが建設される見通し。完成時には1200万人の利用者に対応できるようになる計画だ。このほか、ペナンヒルでは、ペナン植物園から山頂までの新しいケーブルカーを整備しており、2027年には完成する予定だという。
また、ウォーターフロント地区にはコンベンションセンターを中心とした「ザ・ライトシティ」が2025年末に完成予定。2軒のホテルが併設される。ペナン全体でも次々と国際ブランドを中心にホテルが開業する予定で、2026年にはウエスティンやメリディアン、インターコンチネンタルなど5つのホテルがオープンするという。
なお、セミナーではマレーシア政府観光局日本局長のシャリザ・アジズ氏が挨拶。2024年にマレーシアを訪れた日本人は昨年32.2%増の36万7182人。今年の1月から7月は16.2%増の21万9389人となっており、「パンデミック前の8割まで回復しており、25年は大きく飛躍できると信じている」と語った。
情報提供 トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/news/detail/news-118786)