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26年ぶり航路復活へ 尾道―今治で実証事業

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西日本旅客鉄道(JR西日本、倉坂昇治社長)中国統括本部広島支社は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ海上航路整備に向けた実証事業を10月の土・日・祝日の9日間行う。しまなみ海道の全開通を受け1999年に廃止となった尾道―今治航路が26年ぶりに復活する。

同事業は同社が主導し、旅客船運航事業者の瀬戸内クルージング(尾道市)と尾道市観光課、今治市観光課の3社で作る「しまなみ未来共創協議会」、旅客船運航事業者のしまなみ(今治市)、尾道観光協会などが連携して実施する。

尾道駅前桟橋―瀬戸田港―井口港の航路を瀬戸内クルージングが、今治港―下田水港―井口港―瀬戸田港の航路をしまなみがそれぞれ、自転車搭載可能な旅客船「サイクルシップ」を1日2往復運航する。瀬戸田港と井口港を乗り換え地点とするタイムスケジュールとなっている。

乗船料は2日間乗り放題のみで、対象区間ごとに4種類設定。尾道―今治が5千円、尾道―井口、瀬戸田―今治2500円、瀬戸田―井口1千円。JR西日本観光ナビアプリ「tabiwa」などで販売する。

実証事業に先立ち、9月10日に報道関係者向けのツアーが行われた。筆者は尾道港から瀬戸内クルージングのサイクルシップ「ラズリ」に乗船し、約40分で生口島・瀬戸田港に到着。自転車に乗り換え港周辺を散策した。約50店舗が並び古き良き趣漂う「しおまち商店街」、レモンケーキで知られる「島ごころ瀬戸田本店」などを訪ね、地域の魅力を体感した。

その後、生口島の西側を走り抜け、多々羅大橋を渡って大三島へ。あいにくの天気で橋の上では大粒の雨に見舞われた。多島美の絶景こそ見えなかったが、海と島々が雨にかすむ幻想的な風景が目の前に広がった。

大三島・井口港すぐ近くにある宿泊やカフェ、サイクリングポートなどの複合施設「WAKKA」で一息ついた。施設はサイクリスト向けに整備され、人気のスポット。一方でモダンな建物と瀬戸内海の景観を生かした設計がリゾートのような雰囲気を醸していた。

施設内で尾道市の平谷祐宏市長と今治市の徳永繁樹市長らの記者会見が行われた。

平谷市長は「尾道―今治航路の復活を目指す第一歩として、今回の実証事業に取り組む」と述べ、継続的な航路の維持と観光振興の両立をはかっていく考えを示した。尾道では年間約50万人のインバウンド観光客が訪れ、その多くがサイクリストであることに触れ、「観光客の利用が生活航路の維持にもつながる」と語った。

徳永市長は「心の豊かさを求める時代のなか、船旅の魅力がどれだけ多くの人に実感してもらえるかが重要」と述べた。「大三島や伯方島、大島では高級ホテルの建設計画も進んでおり、しまなみ全体を“面”としてどう輝かせていくかが今後の鍵になる」と語り、今回の実証を「大きな起爆剤」と位置づけた。

運航を担う事業者の1つ、しまなみの村上秀人社長は「橋の開通後、観光は伸び悩んだときもあったが、いまや世界のしまなみとしてのブランドが育ちつつある。サイクリングで周遊し、帰りに船を使うなど新しい観光の流れを定着させていきたい」と話した。

情報提供:旅行新聞新社(https://www.ryoko-net.co.jp/?p=156121

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