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雇調金不正受給は8月末で累計1,814件、不正発覚で経営破綻も

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東京商工リサーチは9月30日、全国の労働局が8月31日までに公表した「雇用調整助成金」(雇調金)や緊急雇用安定助成金の不正受給件数をもとに、業種別・地域別の傾向をまとめた。

不正受給は2020年4月から2025年8月までに累計1,814件、総額588億3,043万円に上り、1件あたりの平均は約3,243万円となった。

2025年1~8月の件数は269件で、月平均33.6件と前年同期の56.5件から減少した。特に6月以降は3カ月連続で20件台にとどまり、ピーク時の約3分の1にまで減っている。

都道府県別では、愛知県が288件で最多。東京225件、大阪178件を大きく上回り、単独で近畿地区全体(283件)を超えた。次いで神奈川143件、千葉89件、栃木と福岡が各67件と続く。一方、最少は香川の1件で、山形と島根はいずれも2件にとどまった。

産業別では、分析可能な1,388社のうちサービス業他が636社(構成比45.8%)で最多。中でも飲食業が203社と突出しており、サービス業全体の約3分の1を占めた。建設業185社、製造業150社、運輸業100社も多く、宿泊業は10番目に多い36社だった。

不正受給企業の業歴は10年未満が約4割を占め、新興企業に多い傾向がみられた。

倒産は117件に達し、倒産発生率は6.44%と全国平均の0.28%を大きく上回った。特に公表当日や直後に倒産した企業が全体の65.8%を占め、不正発覚が経営破綻を加速させた事例も目立つ。

厚生労働省によると、非公表分も含めた不正受給は2025年6月末時点で4,280件、取り消し額は約1,044億6,000万円に達する。雇調金は雇用保険料や国の一般会計を財源とするため、国民負担に直結する性格が強く、不正への追及は不可欠とされる。

コロナ禍の緊急措置から5年を経ても不正発覚は後を絶たず、毎月20件以上の公表が続く。東京商工リサーチは「不正受給企業は取引先や金融機関からの信用失墜に直面し、刑事事件化する例もある。返還義務と合わせ、経営の存続に深刻な影響を及ぼす」としており、公正な制度運用に向けた厳格な対応が求められている。

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