東京商工リサーチは10月21日、主な地ビール・クラフトビールメーカー45社を対象にした第16回「地ビールメーカー動向」調査を発表した。1〜8月の出荷量は7,428千キロリットルとなり、前年同期比0.5%の増加で2年ぶりにプラスに転じた。
出荷量は1〜3月にかけて前年同月比で19.6%増、9.6%増、8.3%増と好調に推移したが、5月以降は毎月前年同月比で5〜6%の落ち込みを記録。5月895千キロリットル(同5.1%減)、6月912千キロリットル(同5.3%減)、7月1,188千キロリットル(同6.4%減)、8月1,001千キロリットル(同6.0%減)となった。
猛暑はビール販売に好条件だが、2025年は観測史上、最も暑すぎる夏となり、需要がビールから清涼飲料水へ向かった。さらに、物価高や外出控えで飲食店などの業務用需要も減少につながったとみられる。出荷増加となったメーカーは13社(構成比28.8%)、減少が31社(同68.8%)で、約7割のメーカーが前年を下回った。
ランキングでは、エチゴビール(新潟県)が14年連続で首位となり、出荷量は2,200千キロリットルで2位以下を大きく引き離した。2位は伊勢角屋麦酒(三重県)で1,077千キロリットル、3位にべアレンビール(岩手県)の561千キロリットル、4位は網走ビール(北海道)の459千キロリットル、5位はオラホビール(長野県)の276千キロリットルとなった。
出荷量が100千キロリットルを超えたメーカーは14社で、前年同期から4社減少した。
地ビール市場では、原材料高騰・人手不足・後継者育成の課題が顕在化しており、27社(構成比52.9%)がこの1年に価格改定(値上げ)を実施した。価格改定の実施または予定を含むと74.4%にのぼった。
また、今後の懸念として「原材料の高騰」(38社、構成比73.0%)、「人件費の高騰・人手不足・後継者育成・高齢化」(33社、同63.4%)、「物価上昇による消費減退」(31社、同59.6%)などが挙げられた。
注目されるのは、自社販売(イベント販売含む)が売上比率で最多となった点。45社中17社(構成比32.6%)が自社販売を主要販売先とし、次いで小売業者10社(同19.2%)という結果になった。 各社は独自の味や品質に加え、SNS発信・活用、パッケージデザインによるブランディング強化に取り組んでおり、52社中44社(構成比84.6%)が「独自の味・品質」を強化点として挙げている。
地ビール・クラフトビール業界は、2010年の調査開始以降、新規参入が相次ぎ、2022年度には製造免許場数383場、製造者数460者と過去最多を更新している。1994年の酒税改正、2017年の税制改正が新規参入を促進する要因となった。
今後はブランド力・販路拡大・消費者ニーズ変化への対応が、業界の持続的な成長にとって重要になるとみられる。