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観光産業キャッシュレス推進協議会が始動、添乗員現金問題の解決など急ぐ

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観光産業におけるB2B決済のキャッシュレス化を推進する業界横断組織「観光産業キャッシュレス推進協議会」が設立され、11月18日に総会が開かれた。旅行会社の精算業務の非効率や添乗員の現金携行リスクなどの課題を改善し、観光産業全体の生産性を引き上げることを目的とした取り組みが本格的に動き出した。

協議会は旅行会社各社が発起人となり、大手旅行会社、業界団体、決済関連事業者など幅広いプレイヤーが参画する形で発足した。会長には阪急交通社代表取締役社⻑の酒井淳氏、副会長にクラブツーリズム代表取締役社⻑の酒井博氏、読売旅行代表取締役社⻑の岩上秀憲氏が就任し、エアプラス代表取締役社⻑の岡田健氏が事務局長を担う。

総会冒頭で読売旅行の岩上氏は、日本のキャッシュレス比率は42.8%まで拡大した一方で、企業間取引では10%未満に留まっている現状を指摘したうえで「請求書発行と銀行振込を前提とした商流が業界全体の生産性を妨げている」と述べた。特に団体旅行における添乗員の多額現金持ち歩きは、安全面・業務面ともに大きな負担となっており、改善の必要性を強調した。

続いて酒井会長は、添乗員が多額の現金を扱う業務負担について、各社で共通の課題として認識されていたことをきっかけに、昨年より業界有志で勉強会を開始した経緯を説明した。その議論を重ねる中で「旅行会社単独では進めにくく、観光産業全体のサプライチェーンを視野に入れなければ課題解決は難しい」との結論に至り、協議会の発足につながったと述べた。

今後の活動方針としては、精算業務の効率化、決済仕様の統一化、公平な取引環境の構築、安全性の向上、精算データの利活用という5点が示された。既に「添乗員問題対策分科会」が活動を開始しており、カード決済やQRコード、地域通貨など複数方式の比較検討を進めているという。

議論の中では、基幹システムとの連携難度や、サプライヤー側がキャッシュレス受け入れに伴う手数料負担を懸念する点など、実務面での課題も共有された。エアプラスの岡田事務局長は「現金前提の商流が依然として存在しており、まずは業務の実態を丁寧に潰し込み、双方が負担を分かち合える公平な仕組みを議論していくことが重要だ」と述べた。

総会後の懇親会には観光庁および経済産業省の関係者も来場した。観光産業課旅行業務適正化指導室長の貴田晋氏は、訪日客数が順調に回復するなかで「公平な取引と迅速な支払いは業界の競争力向上に資する」と協議会への期待を寄せた。経産省商務・サービスグループ、商取引・消費経済政策課長の乃田昌幸氏も、キャッシュレス比率が40%を超えた現状や大阪・関西万博でのフルキャッシュレス成功例を紹介しつつ、「今後はB2B領域の利便性向上や安全対策が重要になる」とコメントした。

協議会は今年度から分科会活動や実証実験の具体化を進める予定で、B2B決済の標準化や添乗員業務の負担軽減に向けた取り組みが注目される。

情報提供 トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/news/detail/news-119716

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