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銭湯の現在地、物価高と競争激化で利益6割減

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東京商工リサーチが、銭湯業界を取り巻く環境をレポートしている。物価高や燃料費高騰が度重なる入浴料の値上げ効果を相殺し、スーパー銭湯との競合も深刻化、経営は厳しさを増している。

銭湯の数はピークの1968年に1万7,999軒あったが、2025年には1,562軒と9割減となった。家庭風呂の普及や後継者不足、施設老朽化が重なり、減少傾向に歯止めがかからない。

全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会によると、毎年5%ペースで減少が続き、2035年には1,000軒を割り込む可能性もある。サウナの充実やオリジナルグッズの販売、銭湯後の瓶ジュースの提供など各店は工夫を凝らし、インバウンド需要にも期待を寄せているが、状況は依然厳しい。

7期連続で決算を確認できた37社を分析したところ、2019年の売上高は275億3,400万円、利益は3億7,060万円だった。しかしコロナ禍で2021年には売上高が237億3,100万円に落ち込み、最終利益は2億800万円の赤字へ転落。2022年には赤字幅が5億8,100万円に拡大した。

サウナブームで需要が戻った2023年にはV字回復したものの、2025年は売上高が296億3,500万円と増収だった一方、利益は8億8,100万円と前期比58.1%減となり、コスト増が圧迫している。

大阪府600円、東京都550円など入浴料の上昇は利用者の動向に影響し、設備が充実したスーパー銭湯との価格差も縮んでいる。老朽化した施設の改修費用を捻出できないケースや、後継者不在で廃業を検討する事業者も増えている。

時代とともに環境が変わるなかで、日本独自の文化としての銭湯をどう守るか。未来への持続可能な形を模索する動きが続いている。

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