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アートはもはや『あると良いもの』ではない。FUJI TEXTILE WEEKに見る、地域再生の核心

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山梨・富士吉田で開催されている「FUJI TEXTILE WEEK」に足を運び、正直、胸が震えました。

千年以上続く織物のまちが、布とアートの力で再び呼吸をはじめている──その現場に立ち会えた感覚です。FUJI TEXTILE WEEK は、富士吉田の織物産業の歴史を土台に、テキスタイルと芸術を融合させた国内でも稀有な「布の芸術祭」として、使われなくなった工場や倉庫を展示空間として蘇らせ、まちの記憶とアイデンティティを編み直しています。

今年のテーマは「織り目に流れるもの」。⽬に見える布の表面だけでなく、その下を流れる水脈のような記憶や手仕事のリズム、土地の気配に光を当てる企てだと知り、東京山側で私たちが大事にしている「地層・水脈・暮らしの物語を読み解く視点」と、深く響き合うものを感じました。

産業としての織物、生活のなかの布、アーティストの作品、それらを受け止めるまちの人々と来訪者。そのすべてが、富士山麓の風景の中で「一つの物語」として立ち上がってくる。これは、数字やKPIだけを追いかけていては絶対に生まれない、アートだからこそ編み出せる地域の未来像だと強く実感しました。

東京山側エリアをはじめ、日本各地の地域創生にとって、アートの力はもはや「あると良いもの」ではなく、産業と文化と暮らしを結び直すための中核的なインフラだと思います。見えない水脈のように土地に眠る記憶や誇りをすくい上げ、次の世代へ手渡すために、アートは欠かせない翻訳装置であり、エンジンです。

株式会社東京山側DMCとしても、フィールドワークやアドベンチャートラベルの文脈に、こうした芸術祭の知恵を学びながら、東京山側らしい「アート×風土×ツーリズム」のかたちを模索していきたいと改めて決意しました。

FUJI TEXTILE WEEK、兎に角、素晴らしい芸術祭でした。
(公式サイト:https://fujitextileweek.com/)

寄稿者:宮入正陽(東京山側DMC)

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