私の住む飛騨高山は人口8.8万人。そこに、年間500万人弱の観光客が訪れる人気の観光地です。コロナ禍の落ち着いたこの夏、平日は特に日本人を探すのが困難なほど。街にはインバウンドがあふれます。まさしく、異国のような雰囲気です。
市内の客室数は2025年には5,000室となると言われています。そのため、ホテル旅館や民宿、民泊と、従業員等の人手不足が危惧されています。
民泊、どれだけ理解されているだろうか?
新しい宿泊形態【民泊】、お客様に認知されてどのくらい経つのでしょうか?【民泊】とは名前の通り、民家に宿泊すること。個人の住宅を活用し、事業者が旅行者等に宿泊サービスを提供することです。
さらに、細分化すると、簡易宿所として自治体に許可をいただきフル稼働できるもの。届け出だけで開業できるが年間180日以内の稼働に制限されるもの。この二種類に大きく分かれます。
前者は、営業可能地域も限られ開業に至るハードルも高く、旅館・ホテルに最も近い形。そして、後者は、「住宅」であることが重要であり、日常生活で使用している形。それが条件です。
バケーションレンタルって、何?
昨今、別荘を借りて休日を過ごすスタイルが注目されています。バケーションレンタル(以下、バケレン)と言います。欧米では一般的なサービスとして浸透。そして、日本でも旅行者の多様化に伴い浸透しつつあります。別荘ですから、通常の宿泊施設には無いキッチンやランドリーなどがあります。それ故、長期滞在も可能です。先程の分類では前者となるところが多く、ブライダルやホテル系列企業などの参入が加速度的に増えています。
しかし、【民泊】の一形態としてひとくくりにされるには、もったいない気がします。それは、一目見るだけでも、印象的、魅力的な施設がたくさんあるからです。
特に国内でも沖縄や白馬、軽井沢や河口湖、ニセコ、京都などに人気の施設があります。かなり高額でありながら、どのバケレンも美しい個性を放っています。
非日常を体感する・・・
バケレンは、プライベートな空間で過ごせるスタイル。洗練されたインテリア。非日常のロケーション。例えば、海沿いの絶景が楽しめる丘の上や古い町並みにひっそりと佇む隠れ家など。これらを扱う予約サイトを見ているだけで、いつも思います。「ここに泊まりたい」「旅に出たい」という胸のときめきを感じる瞬間です。
ホテルでは1部屋に3~4名、旅館では6名ほどしか宿泊できません。しかし、こういった高額バケレンは大人数での宿泊が可能です。建物の中に趣向を凝らした複数の部屋があり、キッチンで料理、リビングで映画やゲームとさまざまな楽しみ方ができます。
まさに<住むような滞在>が可能なバケレン、素敵だと思いませんか?
私自身も3年前に高山でバケレンを開業しました。現在「すみや」という名前で、4つの施設を運営しています。
宿泊施設の新しい形でもあるバケレン、その魅力を数回に分けて、お伝えしていきます。
(つづく)
(すみやのHPは、こちらです) https://www.sumiya-villa.com/
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=25
寄稿者 住百合子(すみ・ゆりこ) AO STYLE インテリアデザイナー・コーディネーター