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天王洲DMOと産学連携で創る都市観光の新モデル|跡見女子大 篠原ゼミ 渡辺遥香

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 「観光を学ぶ女子大生から見た日本の観光」

~運河クルーズにおけるパナソニック多言語化自動音声ガイドと女子大生のリアルツアーガイドの融合~

天王洲の街並みとアート ※画像提供 天王洲・キャナルサイド活性化協会

こんにちは。跡見学園女子大学3年の渡辺遥香です。前回の記事では、宮古島研修について旅前・旅中・旅後の3つの視点から宮古島の魅力と課題を整理してお届けしました。今回ご紹介するのは私たち篠原ゼミが毎年お世話になっている一般社団法人天王洲キャナルサイド活性化協会が推進する取り組みです。パナソニック観光コンテンツチームが開発した「多言語化自動音声ガイドシステム」と女子大生のリアルツアーガイドが融合した「天王洲運河アートクルーズ」のガイド体験を学生目線でレポートします。都市の水辺空間を活用した新たな文化観光や、イベントが生み出すコミュニティの力について、現場で感じた視点から紹介します。

天王洲アートクルーズ ※画像提供 天王洲・キャナルサイド活性化協会

1.地域と観光をつなぐ都市型イベント天王洲キャナルフェス

天王洲キャナルフェスは、2024年に観光庁の観光まちづくり法人(DMO)に認定された「天王洲キャナルサイド活性化協会」が推進するハイセンスな新たな都市観光イベントです。同協会は、東京海洋大学や跡見学園女子大学との産学連携による若者の人材育成にも積極的に取り組んでおり、年間を通じたエリア活性化企画に加えて、春と秋の年2回、大型イベントとして天王洲キャナルフェスを開催しています。

同企画は「アートと水辺の街」というエリア特性を軸に、文化体験、アート展示、マーケット、子ども向け企画など、多様なコンテンツを組み合わせながら、天王洲の文化観光地域づくりを促進しているのが特徴です。今回はその天王洲キャナルフェスに関してお伝えします。

2025天王洲キャナルフェス秋冬フェスポスター ※画像提供 天王洲・キャナルサイド活性化協会

2025年10月に開催された秋フェスでは、「沖縄カルチャーパーク」がテーマとなり、沖縄の食、音楽、アートが集う空間が登場しました。テーマや新たな観光コンテンツの提供で、リピーターが多い地域イベントでありながら、毎回新しい体験が提供され、来訪者の楽しみ方が広がり続けています。

私たち篠原ゼミでは、東京都の旧東品川清掃作業所にアートを描き、品川のにぎわいを創造する施設として誕生した「アイルしながわ」で子どもが自ら参加し楽しめる体験イベントを学生主体で年2回企画しています。取り組みは、地域住民や域外からの来訪者との自然なコミュニケーションが生まれる場でもあり、学生にとっても都市イベントの企画・運営を実践的に学ぶ貴重な機会となっています。

ストリートフードフェスティバル ※画像提供 天王洲・キャナルサイド活性化協会

2.水辺の魅力を体験する「天王洲アートクルーズ」

天王洲キャナルフェスのもう1つの目玉コンテンツが、私たち女子大生がガイドを担当している『天王洲アートクルーズ』です。天王洲アイル周辺に点在するアート作品や京浜運河沿いの名所を船上から巡り、レインボーブリッジ付近まで向かう周遊クルーズで、水辺から眺める都市景観は陸上とは異なる魅力が感じられます。

案内は、パナソニック多言語化自動音声ガイドシステム「アバター栞(しおり)ちゃん」というキャラクターと学生ガイドの掛け合いで進行します。音声ガイドは英語・中国語にも対応しており、インバウンド受入の基盤は整いつつありますが、一方で実際の乗船者はまだ日本人が多く、多言語展開や情報量の調整は今後の課題だと感じています。

これまで4回ガイドを担当する中で、内容が固定化し、リピーターへの対応の難しさも見えてきました。そこで今年の秋フェスでは、学生主導でオリジナル台本を新たに作成。東京湾周辺で見られる鳥類や乗り物の豆知識、周辺で開催されているイベント情報など、「アート以外の視点からも楽しめる要素」を盛り込みました。また、船上での魅力的な景観がより伝わるよう、学生が独自にパンフレットを制作。乗船前に配布することで期待感が高まり、「内容が理解しやすくなった」「情報が多くて楽しい」といった声が寄せられるなど、これまでにない新たな価値を提供できました。

学生が作成したアートクルーズパンフレット(左)、学生ガイドの様子 ※画像提供 天王洲キャナルサイド活性化協会

3.イベントが生む「地域のつながり」

キャナルフェスに参加して強く感じたのは、イベントが「多様な人が自然に交流する場」になっていることです。近隣に住む方、来訪者、キッチンカーやアーティストの方々、そして私たち学生。立場の違う人々が水辺空間を共有し、あいさつや会話が自然と生まれる雰囲気があります。参加する前は、天王洲アイルを「羽田空港へ向かう乗換駅」としか捉えていませんでした。しかし、関わりを重ねる中で、地域の人々の温かさ、イベントによって広がるコミュニティの存在を実感しました。

水辺空間を活かした都市イベントが、まちへの愛着や人と人のつながりを育てる場になっていることを肌で感じています。若者を中心に構成されている実行委員会の強い情熱により私たちもフェスを楽しみながら観光まちづくりの楽しさや奥深さを改めて実感しています。天王洲キャナルサイド活性化協会が推進する観光まちづくりの活動は、観光庁が目指している「住んでよし」、「訪れて良し」の観光まちづくりの成功事例です。ぜひ皆さんも一度天王洲キャナルフェスにお越しください。

https://canalside.or.jp

4.今後の記事について

次回は私たち篠原ゼミが昨年の夏から携わっている成田国際空港様(略称:NAA)との「エアポートツーリズム」についてレポートいたします。次回もお楽しみに!

寄稿者 渡辺遥香(わたなべ・はるか)跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 篠原ゼミ 3年

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